意外な共通点を紹介
出会い系アプリに学ぶ、社内コラボツールのAI活用「3つのヒント」
企業向けコラボレーションツールが参考にしている意外な分野が出会い系アプリケーションだ。機械学習を活用した相性分析やコミュニケーション手法の長い実績があるからだという。
人には他者と対話する能力がある。だがコミュニケーションや人間関係がいつでもうまくいくわけではない。機械学習をはじめとする人工知能(AI)技術は、私的な人間関係と職場での人間関係のどちらにも効果を発揮する。
昨今のビジネスの世界では、実際に会って話をする機会がない場合もある。そうした中で、社内あるいは会社間のやりとりや、さまざまな性格の人同士のコミュニケーションを円滑に進めるため、AIを用いたコラボレーションツールの活用が進んでいる。これまで出会い系アプリケーションや婚活サービスで培われてきた手法に企業が注目し、職場でのコミュニケーションや人間関係の向上に役立てようとする動きがある。
併せて読みたいお薦め記事
さまざまなコラボレーションツール
- 「Slack」は本当にメールの代わりになるのか?
- Microsoft Teamsが社外コラボ機能を拡大し誰でもアクセス可能に、Slackに対抗
- Slackが「1日当たり1000万人のユーザー」を実現できた理由
コラボレーションツールのトレンド
共通点その1:相性の良い組み合わせを探す
出会い系アプリケーションや婚活サービスでは、相性の合う相手を見つけやすくするために、会員の詳細なプロフィールを作成する。そのためには協調性があるかどうか、外交的か内向的か、変化を受け入れるタイプかどうかなど、さまざまな性格的特性を分析する必要がある。最近では、機械学習を活用して過去のやりとりから性格的特性を分析し、その結果に基づいて適切な相手を見つけ出すという。
性格的特性に基づく詳細なプロフィールの作成と機械学習によるマッチングの手法は、企業向けコラボレーションツールや業務における人間関係にも応用できる。従業員の行動を調査してモデリングすることで、その人により適したプロジェクトや案件をマッチングさせることが可能だ。
求職者と社内のチームあるいは駐在先の従業員をマッチングするのにも、性格的特性に基づくプロフィールと行動モデリングが役立つ。出会い系アプリケーションでのAI活用と同様に、コラボレーションツールにもAIを導入すれば、営業担当者の業務的特徴を分析して、最適な顧客や顧客候補とのマッチングにも利用できるだろう。
バイアスや選別の問題を防ぐ必要はあるが、このようなシステムは管理職や人事部門の業務支援に活用できる。組織全体の業務効率を大きく向上できるため、小規模な企業では特に有効だ。
共通点その2:プレゼンテーションが大切
写真は出会い系アプリケーションのプロフィールにおいて重要な要素だ。出会い系アプリケーション「Tinder」は、利用者のプロフィール写真を機械学習アルゴリズムで分析し、最も好評な写真を最初に表示するように自動的に並べ替える機能を備える。この機能は、異なる組み合わせやパターンをテストして適切な選択肢を見つける手法「A/Bテスト」を応用したものだ。利用者はどの写真が一番効果的かを自分で調べる必要はなく、AIエンジンが自動でその作業をしてくれる。
利用者同士のチャットログ分析にも、出会い系アプリケーションはAIを使っている。チャットログを分析し、相性のいい相手だと判定すると、アプリケーションが推奨メッセージやリマインダーを表示し、実際に会うことを勧める。加えて、双方の性格的特性に合った連絡方法を提案する。
これらの手法と同じような手法を用いる企業向けコラボレーションツールがある。AIにより、顧客候補との会話ネタを提案して売り上げ向上を推進したり、従業員同士のコラボレーションを促進したりできる。
AIを使った会話分析を導入すれば、会話をシステムでモニタリングして、難しい質問や状況への対処方法をリアルタイムに提示可能だ。顧客へのアップセル(より高額な商品を買わせること)にも活用できるだろう。
共通点その3:リスク分析
出会い系アプリケーションの技術は、AIを使ったコンテンツの常時監視やモデレーション(品質管理)にも役立つ。この機能は、不適切な画像を自動的に検出し、それらの内容が悪質になり始めることを検知する。その情報を基にAIエンジンが利用者にリスクスコアを付け、リスクの高い利用者をブロックできる。さまざまな条件(苦情、アプリケーションでのアクティビティーレベル、加工した写真や偽の写真の使用など)をリスクの指標にすることも可能だ。
企業向けコラボレーションツールでも、同じようにAIを利用することで、メッセージを常時監視できる。不適切または攻撃的なコンテンツやコメントを検出するだけでなく、会社のガイドラインや規制に違反する画像や文書がないかどうか監視することもできる。
メッセージをフィルタリングすることは、生産的なコンテンツと業務環境の向上につながる。私的なコミュニケーションや職場でのコミュニケーションに役立つアプリケーションの普及に伴い、人間関係を向上させる手段としてのAIの活用は、ますます拡大していきそうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[株式会社マクニカ] アイカ工業に学ぶ脆弱性対策 情シスが把握できずにいたアセットも正確に把握 -
製品資料
[株式会社マクニカ] 「脆弱性総まとめ」解説 被害事例から考える必須の対策ポイント -
製品資料
[Splunk Services Japan合同会社] サイバー脅威「トップ50」完全解説ガイド、新たな攻撃手法に対抗するには -
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」完全ガイドブック:メリットから資格取得のポイントまで -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] はじめての「自治体/官公庁入札」 必要な知識がすぐに学べる入門ガイド
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
2
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
3
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
4
「世界一給与にハングリー」な日本のエンジニアが“雇用の安定”を求める理由
-
5
「技術屋」で終わらないために 情シスが今取るべき認定資格5選
-
6
「VMwareのコスト」に悩んでいるユーザー企業に送る、VMwareを残す・捨てる基準
-
7
後付けガバナンスの崩壊 PayPalが設計段階からデータを縛る理由
-
8
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
9
迫る“インフラ崩壊”の危機 米英を相次いで襲った「PLC悪用攻撃」の全貌
-
10
「GPTかClaudeか」だけでは不十分 AI選定で情シスが見るべき3つの仕組み
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
2
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
3
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
4
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
7
PostgreSQLの「機能」「性能」「運用」「拡張性」に関する悩みの解消法
-
8
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
9
Macの安全神話は崩壊? 最新の脅威動向から見えた攻撃のトレンドと有効な対策
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー