企業がITインフラ管理ツールを選ぶに当たって考える要素は多い。特にSaaSとオンプレミスツールのどちらを選ぶかは難しい判断になる。
ITインフラの導入と管理にオンプレミスツールを使い続けている企業は珍しくない。一方でSaaS(Software as a Service)形式で提供されるIT管理ツールも増えつつある。SaaS形式の場合、ベンダーがユーザー企業に代わってITインフラ管理ツールをホストしてメンテナンスする。オンプレミスインフラを利用していても、インフラ管理を専門としていない企業は、SaaSを選ぶしか現実的な方法がないこともある。SaaSベンダーには実際にインフラ管理の知識がある。
SaaS形式のITインフラ管理ツールは決して新しいものではない。CloudPhysicsの同名ツールをはじめとするSaaSは、何年も前からVMwareのサーバ仮想化製品「VMware vSphere」環境の問題を特定し、パフォーマンスと安定性を強化するために役立ってきた。他にもPlatform9 Systemsの「Platform9」は、クラウド構築ツール「OpenStack」やコンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」を使ってオンプレミスで構築したITインフラに加え、サーバレス環境を含めたインフラ全体の管理をサポートする。
Hewlett Packard Enterprise(HPE)のような大手ITソフトウェアベンダー業もSaaS形式のITインフラ管理ツールを自社のサービスに加えている。具体的にはハイブリッドクラウド管理用のツールだ。CEOはハイブリッドクラウドのような新しいインフラ構築プロジェクトを「科学研究プロジェクト」と評することがある。つまり、導入が難しく画期的なプロジェクトだ。そのためSaaSベンダーにとっては常にチャンスがある。SaaSベンダーはそうしたプロジェクトを支援するツールを用意している。
SaaS形式のITインフラ管理ツールはオンプレミスツールを上回るメリットを提供する。だが、危険性をもたらす可能性もある。
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