会議の参加者や人数をAIで特定
AI活用の「スマートカメラ」とは? Amazon、Google、Microsoftが注目
会議の効果を最大限に引き出し、ビデオの新しいユースケースを作りたいと考える企業は、クラウドベンダーやビデオ会議ベンダーが提供する「スマートカメラ」に注目だ。
アナログからデジタルへの転換は、音声やビデオでは大変だった。コミュニケーション業界はこれまで、生データを取得し、圧縮して、インターネット経由で世界へ送信するプロセスにフォーカスしてきた。最近になって業界では、音声やビデオの純粋な伝送、つまり離れた人々の間で有意義な会話を成立させる方法の提供だけでなく、人々が開く会議の効果の向上にも力点を置くようになってきた。
ビデオは他のコミュニケーションメディアと比べて、こうした力点の変化への対処が遅い。洞察を引き出すために処理すべきデータ量が多いからだ。だが今では、ビデオ分野に人工知能(AI)技術が導入され始めており、ビデオ会議やコラボレーションの効果につながる洞察を提供する「スマートカメラ」が登場している。同じくカメラが使われる監視カメラの分野でも、省力化の追求や監視の精度向上に向けて、インテリジェント化が進んでいる。
AI技術を実装したスマートカメラには現在、2つのカテゴリーがある。モノのインターネット(IoT)向けの汎用(はんよう)カメラと、ビデオ会議専用のカメラだ。いずれ企業の間では、両タイプのスマートカメラを導入し、展開する動きが広がりそうだ。
企業は倉庫作業の自動化や、店舗での買い物客の行動把握といった、特定の自動化プロジェクトのために、スマートカメラを使うようになるだろう。またビデオ会議製品の選定時に、会議用のスマートカメラが有力な選択肢になると考えられる。
クラウドベンダー各社のスマートカメラ戦略
主要なクラウドベンダーであるAmazon Web Services(AWS)やGoogle、Microsoftの各社は、スマートカメラ戦略を打ち出している。これらの戦略は開発者ニーズや各社の機械学習技術との関連性を踏まえて策定されている。
AWSは2017年11月、Intel製CPUを搭載したAIカメラの「AWS DeepLens」を発表した。開発者はAWS DeepLensに備わる機械学習モデルを使い、カメラで収集したデータを基に、推論を実行させることができる。
GoogleはAIカメラについて異なるアプローチを取り、DIY(Do It Yourself)型のAIキット群「AIY」を発表した。同社が最初にリリースしたAIY製品の一つが、「Vision Kit」だ。ユーザーはVision Kitで、小型コンピュータ「Raspberry Pi」をベースとした、機械学習を利用したインテリジェントカメラを製作できる。
Microsoftは2019年に「Azure Kinect DK」を発表した。ゲーム機用センサー「Xbox Kinect」の技術を生かして開発したデバイスで、物体のイメージや物体との距離(深度)、音を高い精度で捉えることができる。
会議室への導入が始まったスマートカメラ
ビデオ会議ベンダーもスマートカメラに重点を置くようになっている。ただし会議用のスマートカメラのベンダーは汎用スマートカメラベンダーとは異なり、リモート会議という特定のユースケースにフォーカスしている。
会議用スマートカメラの基本機能は、会議室にいる人々を特定することだ。AI機能は、必要になったときにスマートカメラに組み込める。例えば以下のようなことを実現可能だ。
- その場にいる人数をカウントする
- 物体を特定する
- 背景をぼかしたり置き換えたりする
- 会議室のホワイトボードに焦点を当てる
ビデオ会議ベンダーの一部は、こうした機能を自社製品に取り入れ始めている。ローカルまたはクラウドで動作するソフトウェアによって、こうした機能を追加する場合もあれば、カメラ自体に機能を組み込む場合もある。
Logitechは自動制御技術「RightSense」により、会議室のサイズと参加者を認識し、常に全員が収まるようにカメラの向きやズーム倍率を調整する自動フレーミング機能を提供している。Dolby Laboratoriesも同様の機能を「Dolby Voice Room」で提供している。
Huddlyは自動フレーミング機能を「Genius Framing」で実現する他、AIエンジンで会議室内の人数カウント機能を実現する。この機能は、社内の会議室の使われ方を理解したり、利用計画を立てたりするのに役立つ。
ビデオ会議ベンダーは、パートナーにデバイス販売の一部を委託する場合がある。このことも頭に入れておくとよいだろう。
カメラによる入力データを基にした推論は、機械学習でトレーニングされた推論モデルに基づいて、収集されたデータを分類整理しながら実行する。こうした処理は、カメラの近くで実行するのが理にかなっている。ネットワーク経由で送信されるデータ量が減り、高いプライバシーを維持できるからだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社ビザスク] 製造業の新事業創出 成功の鍵は「タラレバ問題克服」と「3つの判断ポイント」 -
製品資料
[日本シーゲイト株式会社] 実験のやり直しを防止 研究データ基盤に求められる高可用性ストレージとは -
製品資料
[株式会社Leaner Technologies] もっと安く買えるのに…… 間接材購買で“コスト削減機会”を逃さないためには -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] フィールドサービスの熟練技術者が「AIエージェント」を求めている理由 -
製品資料
[株式会社グリーンフィールド・オーバーシーズ・アシスタンス] 基礎から分かる「就労ビザ」 アメリカ進出を目指すなら知っておきたい取得戦略
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
脱VMwareか、継続か? 仮想化ソフト主要6製品の機能とスペックを徹底比較
-
2
AIが本番環境を削除し復旧に13時間 「暴走」ではなかったAWS事例
-
3
「Excel至上主義」と“謎マクロ”の限界 属人化リスクを断つ業務移行の勘所
-
4
レガシー基幹システムをSAPに統合 山善が突き止めた「標準化と個別最適」の境界線
-
5
「HDD終了」は本当か 巨大クラウド2社が下した大容量フラッシュへの決断
-
6
IT人材の42%が転職予備軍 辞めさせない組織の4つの共通
-
7
年収700万超エンジニアに共通するスキルと「もっと勉強すべきだった分野」
-
8
「WSUS」終了の時限爆弾 “本命”移行先ツールとMicrosoft提唱の新管理手法
-
9
Microsoft 365の知られざる5つの裏口 パスワードを変えても攻撃者は消えない
-
10
DX導入企業の3割超がむしろ「負担増」 9割が陥る“内製化のわな”
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
登録セキスぺが語る「SCS評価制度」の舞台裏 星を取得すべき理由と対応のコツ
-
2
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
3
OSSでは困難 100超のサービスを持つマネーフォワードが実践した統合監視術
-
4
ネットワーク遅延の原因、「パケットロス」の基礎知識と効果的な解決策
-
5
月1000枚の紙を削減 9年動けなかった組織が、業務改革のその先に得たもの
-
6
「人員を増やす」という選択肢はない 情シスが負の連鎖から抜け出すには?
-
7
ドラマで分かる、標的型攻撃メールの被害を受ける企業と回避できる企業の分岐点
-
8
「改正物流効率化法対策」徹底解説 総物流費を抑制するサプライチェーン戦略
-
9
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
10
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー