不正選挙を防ぐMicrosoft「ElectionGuard」 その中核技術「準同型暗号」とは?結果を公開しつつ秘匿性も確保

2020年の米大統領選挙に先立ち、Microsoftはオープンソースのソフトウェア開発キット(SDK)「ElectionGuard」を発表した。これにより、電子投票の結果を有権者自らが検証できるようになる。

2019年06月27日 10時05分 公開
[Mekhala RoyTechTarget]
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 Microsoftが提供する「ElectionGuard」は、選挙投票の安全性を高めるために利用できるオープンソースのソフトウェア開発キット(SDK)だ。同社は2019年5月に開催した開発者向け年次カンファレンス「Microsoft Build 2019」で、ElectionGuardを発表した。選挙システムベンダーがElectionGuardを使うと、有権者や第三者機関が、自分の票が正しくカウントされたかどうかを確認できるようになる。

投票システムを変える可能性を秘めたSDK

 ElectionGuardの開発において、Microsoftはセキュリティ技術開発会社Galoisと提携した。GaloisはElectionGuardの重要な部分であるAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を開発した。

 「ElectionGuardの目的は、選挙関連システムのベンダーなど、安全な選挙システムを構築したいと考える企業や人々が、通信の安全性を確保できるようにすることだ」。Galoisの研究エンジニアを務めるジョーイ・ドッズ氏はそう説明する。ElectionGuardに備わる、有権者や第三者機関が投票結果を直接検証できる機能は、有権者のプライバシーを損なわない選挙関連情報の提示を可能にする。ただし紙の投票用紙を使わないシステムは、この機能の対象外だという。

 サイバーセキュリティ推進団体のCenter for Internet Security(CIS)で選挙セキュリティ担当シニアディレクターを務めるアーロン・ウィルソン氏は、ElectionGuardを「将来の投票制度を変える可能性があり、正しい方向に進歩している」と評価する。 ウィルソン氏は「安全かつ検証可能かつ正当な選挙システムを実現する」という、Microsoftが同社自身に課したミッションを支持している。「それら全ての要件を満たすことができれば、侵害困難な投票システムが実現し、既存のシステムを改善できるだろう」(同氏)

「準同型暗号」で安全性と正当性を確保

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