アプリケーションをクラウドに移行したからといって、保守管理業務から完全に解放されるわけではない。企業はアプリケーション同士の関係を理解し、APIや認証、ネットワークなどの問題に対処する必要がある。
オンプレミスからクラウドへの移行を検討している組織は、移行したいアプリケーションを全てクラウドに引き継ぐことができると期待しがちだ。当然のことながら、そううまくはいかない。企業はクラウドへの移行に伴い、オンプレミスの機器とソフトウェアの管理業務から解放される代わりに、アプリケーション同士の関係を見直す必要が生じる。
社内のアプリケーションの依存関係は見過ごしやすい。今やスタンドアロンで単一のアプリケーションを実行するような状況はほとんどない。電子カルテやメールなどのシステムは、相互に連携することで高度な機能を提供する。
クラウドへ移行させたアプリケーション同士の連携が不完全な場合、不具合が生じてユーザーエクスペリエンス(UX)に悪影響が及ぶ。アプリケーションのクラウド移行が完了したら、不具合を起こす可能性がある、全てのアプリケーション間の連携手段を把握しておく必要がある。
アプリケーションのクラウド移行に伴って、企業が直面し得る3つの問題と、その解決策を見ていこう。
多くのアプリケーションはシステム間を連携させるAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を使用して互いに通信し、データを共有する。APIは、ベンダーが共通のデータ交換規格を採用することで機能する。
セキュリティ強化などの目的で、ベンダーがAPIに機能追加や仕様変更をすることがある。これらの変更によって、システム間の通信ができなくなる可能性がある。オンプレミスのアプリケーションの場合は、社内でAPIのセキュリティ設定を変更したり、アプリケーションのテストが終了するまでAPIの更新を遅らせたりすることもできるが、クラウドではこのような調整は難しい。
ユーザー企業側でAPIの仕様変更に伴うシステムの更新が完了しないうちに、クラウドベンダーがAPIを新しい規格に移行させる場合がある。APIの互換性を維持できなかった場合、アプリケーションが期待通りに機能しなくなる場合がある。企業は早急に不具合の生じた箇所を修正するか、または回避策を見つける必要がある。
この問題は、例えばベンダーがJavaのAPIなど古くからあるAPIから、HTML5のAPIなど比較的新しいAPIへ移行したときに発生する可能性がある。なぜこのような移行作業が必要かというと、古いAPIは機能しなくなる可能性があるからだ。ベンダーがAPIのアップデートをするとき、更新作業は必ずしも難しいわけではない。しかしいくらかの作業は依然として必要で、急な対応を迫られる場合もある。
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