機能性やコスト、担当者のスキルで比較
「マネージドスイッチ」「アンマネージドスイッチ」「スマートスイッチ」の違い
スイッチの種類としてマネージドスイッチ、アンマネージドスイッチ、スマートスイッチがある。それぞれ機能的な違いがあり、管理者に求められるスキルも異なる。違いを具体的に解説する。
「マネージドスイッチ」は「アンマネージドスイッチ」よりも機能が豊富だが、最大限に活用するためにはスキルの高い管理者や技術者が求められる。マネージドスイッチは、ネットワークおよびネットワークを流れるトラフィックの管理機能が優れている。一方でアンマネージドスイッチは接続したデバイス同士が相互に通信するために必要な基本機能を備えている。
アンマネージドスイッチとは
アンマネージドスイッチは、接続したポート同士の通信を最適化するオートネゴシエーション機能を備えている。これによりデータ転送速度を最適化したり、半二重通信(1本の通信経路が双方向の通信を担う)と全二重通信(2本の通信経路が双方向の通信を担う)のどちらを使うべきかを自動的に判断したりする。アンマネージドスイッチにはVLAN(仮想LAN)の概念がなく、接続する全デバイスが同じブロードキャストドメイン(一斉配信のトラフィックが届き範囲)に所属する。
MACアドレステーブル(物理ポートとMACアドレスの対応表)の機能を備えるのもアンマネージドスイッチの特徴だ。MACアドレスを動的に学習し、そのMACアドレスがどのポートに割り当てられているのかを継続的にMACアドレステーブルに記録する。MACアドレステーブルの機能を搭載することで、アンマネージドスイッチはポートごとに個別のコリジョンドメイン(トラフィックの衝突が発生する範囲)を設定する。
マネージドスイッチとは
マネージドスイッチとアンマネージドスイッチの間の大きな違いはコントロール性にある。マネージドスイッチは、スイッチの各ポートの設定を任意に調整でき、さまざまな方法でネットワークを監視できる。ネットワークを流れるデータと、そのデータにアクセスするユーザーに対するコントロール性も高い。マネージドネットワークでは一般的に、ネットワーク機器から情報を取得するためのプロトコルである「SNMP」(Simple Network Management Protocol)を使ってスイッチの状態を監視し、ネットワークのスループット(データ伝送速度)の状況やエラーの発生状況などを把握できる。
メーカーやモデルによってマネージドスイッチの機能は異なるが、以下の機能を備えていることが一般的だ。
- ネットワークのループ構成(LAN内でトラフィックが円環状に永続的に流れること)を防止するプロトコル「STP」(Spanning Tree Protocol)の使用
- サービス品質のコントロール
- VLANの設定
- 使用するデータ通信容量の制限
- ポートミラーリング(ポートから送出するデータの複製を別のポートから送出)
マネージドスイッチのポートはトランクポート(スイッチ同士を接続するポート)として設定できる。トランクポートを設定すると、トラフィックにVLANごとのIDをタグ付けし、単一のポートから複数のVLANのトラフィックを転送できる。複数のポートを組み合わせて同時に使えるようにするリンクアグリゲーションを形成し、単一のポートを使用する場合と比較して2倍~8倍のデータ転送速度が可能になる。マネージドスイッチは通常、遠隔でデバイスを管理するためのリモートアクセス機能を搭載しており、管理者がスイッチの設置場所にいなくても設定を変更できる。
価格面でもマネージドスイッチとアンマネージドスイッチに違いがある。マネージドスイッチの方がアンマネージドスイッチよりも価格は高い。マネージドスイッチはソフトウェアのパッチ適用やアップデートが必要になり、導入時にスキルの高い担当者が求められる。サーバや無線LANデバイス、IoT(モノのインターネット)デバイスで構成するような複雑なネットワークの場合、マネージドスイッチに特殊な設定が必要になる場合もある。
スマートスイッチとは
スマートスイッチは、アンマネージドスイッチとマネージドスイッチの差異を埋める存在だ。アンマネージドスイッチと比べると管理性やコントロール性に優れ、VLANも設定できるが、マネージドスイッチと比べると設定できる機能は限定的だ。スマートスイッチの価格は、マネージドスイッチとアンマネージドスイッチの中間に位置する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品レビュー
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 実画面を見れば納得 営業・設計・開発を「AI×CRM」でつなぐとこうなる -
比較資料
[アイティメディア広告企画] ERP導入ガイド:「OBIC7」「SMILE V 2nd Edition」「Oracle NetSuite」を比較 -
市場調査・トレンド
[アイティメディア株式会社] AI Overviews時代のB2Bマーケ! 成長企業が選ぶ戦略とは? -
市場調査・トレンド
[アイティメディア株式会社] なぜあの施策は失敗したのか? B2Bマーケ施策を成功させる3つの鉄則 -
市場調査・トレンド
[株式会社Zendesk] 調査で判明:AIを活用したCX変革、成功に向けて押さえておきたい5つのトレンド
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
Microsoft 365侵害企業の9割はMFA導入済み 1002人調査で見えた盲点
-
2
IBM iのブラックボックス化を打破 資産継承と進化を実現する「IBM Bob」の実力
-
3
「GitLab」に最高深刻度の脆弱性 2014年以降の全版に影響を及ぼす恐れ
-
4
「アップグレードできないJava」をどう守る IBMとRed HatがAIで400件超修正
-
5
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
6
PHPはそもそも必要か? 脆弱性で問われる自社サイト安全性と保守負担のバランス
-
7
「パスワード使い回し8割」の衝撃 なぜ“パスキー移行”が必要か
-
8
OpenAIやAnthropicでさえ制御不能 2026年夏「3大サイバー攻撃」の衝撃
-
9
「Copilot」がIT予算を食いつぶす? 高額請求を招く課金体系と節約術
-
10
「社用車」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
3
10G回線の真価をフルに享受するには? 導入前にチェックしたいポイント
-
4
SCS評価制度時代の「SASE選定」ガイド
-
5
顧客対応自動化の要点:RAGとデータ連携で“業務で使える生成AI”にする方法
-
6
マンガで解説:情シスの負担を減らす「MDRサービスのインシデント対応」の中身
-
7
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
8
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
9
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
10
「EDR」選定ガイド:比較・検討フェーズで整理すべきポイントを解説
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー