深層学習でブランド個性に合わせた音声を生成する「Amazon Polly」銀行導入事例

Amazon Pollyは、ディープラーニングを利用してブランドイメージに合わせた音声を生成できる。オーストラリアの銀行は、コンタクトセンターに「オーストラリア英語」で応答するAIを導入しようとしている。

2020年03月23日 08時00分 公開
[Aaron TanComputer Weekly]

 National Australia Bank(NAB)の顧客は間もなく、NABのコンタクトセンターに電話で問い合わせるとAmazon.comの人工知能(AI)を使って開発された音声に迎えられるようになるだろう。

 このサービスはAmazon Web Services(AWS)の「Amazon Polly」の一部で、テキストを人間そっくりな話し方に変換する。Amazonの言語学者の専門知識を活用し、ブランドの個性を表す専用のニューラルテキスト読み上げ(NTTS)音声を構築する。

 NABは、Amazonの専門家の協力を得て「Alexa」と同じディープラーニング技術で独自のブランド音声を作成した。オーストラリア英語を特徴とするこのブランド音声は、NABがAWSの「Amazon Connect」ベースのコンタクトセンターサービスに幅広く移行する一環として開発された。

 NABのデジタルおよびアシストチャネル部門ゼネラルマネジャーを務めるローラント・デ・セギュール氏はこの音声について「NABらしさがありながら、NABの立場や顧客が期待するものとの一貫性も保たれていると感じた」と述べる。

 デ・セギュール氏は次のように付け加える。「この音声ファーストのデジタルイノベーションによって世界のリーダーになることをうれしく思う。この音声を段階的に展開する中で、顧客がこの音声とやりとりし、体験することを楽しみにしている」

 Amazonによると、Amazon Pollyが使っているディープラーニングモデルは、自然言語データからイントネーションのパターンを取得して、似た口調の音声を再現できるという。これにより、企業が顧客に示したいと考える個性や口調を備えたカスタム音声を作成できる。

 AWSのアジア太平洋地域におけるコグニティブカスタマーエクスペリエンス部門の責任者を務めるフィリップ・ザミット氏は次のように述べる。「NTTS音声などの新しい技術は、コンタクトセンターや仮想アシスタントと顧客のやりとりを、ブランドの個性を反映した人間的で魅力のある体験へと変える」

 「KPMGの最新のエクスペリエンスエクセレンス年次報告書によると、オーストラリア人はパーソナライゼーションをブランド支持の主要因に位置付けているという。顧客との印象的なつながりを築くために、NABはこの次世代技術に投資することを検討するよう顧客に働き掛けている」

 英Computer Weeklyは、米ラスベガスで開催された「AWS re:Invent 2019」で、オーストラリアとニュージーランドにおけるAWSのマネージングディレクターを務めるポール・ミリオリーニ氏にインタビューした。同氏は、この2カ国でAmazon Connectは、過去2年間に「大きな成功」を収めたと話す。

 「Amazon Connectを導入する顧客を何百社も見てきた。そうした顧客のほとんどは、顧客体験を軸にして中核事業を構築する必要があると考えている。従来のSoE(Systems of Engagement)をソフトウェアに移行してレガシーインフラから脱却することで、顧客の経験をもっと柔軟に構成できるようになり、同時に顧客に関する洞察も得られるようになる」(ミリオリーニ氏)

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