業界は、既存のコンピュータネットワークよりも、いわゆる「エッジ」で生成されるデータ量が上回ると予測している。エッジは次の最先端分野と考えられ、アナログの世界とデジタルの世界の橋渡しをする。アナログセンサーのデータをネットワークでストリーミング処理できるようにすることで、信頼性を高め、ユーザーエクスペリエンスを改善し、効率を向上させる。
工業分野ではセンサーデータを集め、熱、光、圧力といった監視可能な要素を計測し、それによって機器が安全かつ最適に機能していることを確認する。その後、工業制御システムでこうしたデータを処理し、監視対象機器の機能を制御する方法を決定する。
従来、データは全てローカルの制御システムで処理されていた。制御システムに必要なデータなど、意思決定のためのリアルタイムデータはパブリッククラウドではなくエッジで処理する必要があるというのが業界の共通認識だ。だが、パブリッククラウドやオンプレミスデータセンターを利用してIoT(モノのインターネット)機器全体からデータを取り込むことには多くのメリットがある。取り込んだデータを集約して、機械学習アルゴリズムを改善することができる。
これまで、データ取得システムやデータ制御システムは運用テクノロジーだと考えられてきた。そのため企業のIT部門の責任範囲外だった。だが、HPE(Hewlett Packard Enterprise)でエッジおよびIoTラボ部門のグローバル責任者を務めるトム・ブラディシッチ氏は、エッジコンピューティングではIT部門が役割を担うことになると説明する。
ブラディシッチ氏によると、エッジコンピューティングによってコンバージドシステムを実現することで、運用テクノロジーの担当部門がこれまで管理していたスタンドアロン機器が不要になるという。コンバージェンスは業界にとっても良いことだと同氏は話す。工業システムが必要とする多種多様な機能を全て1つの機器に集約すれば、利便性が増し、機器を購入しやすくなり、コストが削減され、信頼性が向上して消費電力が改善する。
カメラと音楽プレーヤーを「iPhone」にまとめたことが、Appleを世界最大の音楽およびカメラ企業に押し上げた。これと同じくらい、IoTのコンバージェンスの価値は大きいとブラディシッチ氏は考えている。同氏によればエッジでのコンバージェンスは、複数の機能がスマートフォンに統合されたときに起きたような、業界の「創造的破壊」につながるという。「Uberが存在するのは、GPS、スマートフォン、地図が集約されたからだ。これによって業界全体が一変した」と同氏は話す。
Forrester Researchのレポート「Predictions 2020: Edge Computing」(2020年のエッジコンピューティング予測)によると、エッジコンピューティングに必要な全てのソフトウェアとハードウェアを1社が提供する可能性は低いという。同レポートはエッジコンピューティングを検討中の企業に対し、次のように助言している。
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