竹中工務店が建築ロボットの制御を「AWS RoboMaker」で実現へ 効果と課題はロボットの自律走行を目指す

建築現場用ロボットと、その制御システム「建築ロボットプラットフォーム」を開発する竹中工務店。それらの中核要素として採用したのが「AWS RoboMaker」などのAWSサービスだ。選定理由とメリット、課題を整理する。

2020年04月08日 05時00分 公開
[上田 奈々絵TechTargetジャパン]

 大手建設会社の竹中工務店は、建築現場で稼働するロボットと、その制御や監視に利用するシステム「建築ロボットプラットフォーム」の開発と運用を進めている。それらの中核要素として採用したのが、ロボットアプリケーションの開発と運用のためのサービス「AWS RoboMaker」(以下、RoboMaker)をはじめとするAmazon Web Services(AWS)のサービス群だ。

 「RoboMakerが持つロボットのシミュレーション機能を利用することで、自律走行するロボットの開発が可能になる」と、竹中工務店で建築ロボットプラットフォームの運用を統括する松尾 享氏は話す。ロボットと建築ロボットプラットフォームの実証実験を通じて、RoboMakerの効果と課題が見えてきた段階だ。

 RoboMakerは2018年提供開始という比較的新しいサービスであり、竹中工務店も本格導入はこれからという状況だ。ただし現時点でも同社はRoboMakerのメリットや課題を実感しており、同社の取り組みは他の国内企業にとっても参考になると考えられる。本稿は同社の話を基に、RoboMakerをはじめとするAWSサービスを利用したロボット開発と運用の成果・課題を解説する。

 建築業界では労働者の減少と高齢化が進んでいることに加え、完全週休2日制という働き方改革の努力目標を設定していることもあり、人手不足の課題解消が急務となっている。この課題を解決するために、竹中工務店は現在、資材の運搬や掃除などの単純な作業をするロボットを建築現場に導入している(写真)。

 現行のロボットは主に建築中の建物内で運用されるため、位置情報を把握させることが難しく、あらかじめカラーコーンでマーキングした範囲でしか作業させることができない。加えてロボットの稼働台数の増加と高度化に伴い、管理負荷が増大していることが課題となっていた。

 この課題を解決するために採用した手法が、位置情報を活用したロボットの自律走行と、ロボットのバッテリー状態や異常状態の一括管理を可能にする建設ロボットプラットフォームの開発だ。

写真 写真 資材搬送用ロボット「クローラーTO」(左)と清掃作業用ロボット「AXキュイーン」(提供:竹中工務店)

RoboMakerのシミュレーション機能とBIMを活用

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