クラウドストレージと「オンプレミス型STaaS」の決定的な違いとは?サービスとしてのストレージ「STaaS」【後編】

クラウドストレージの課題はオンプレミス型の「STaaS」(Storage as a Service)で解消できる可能性がある。クラウドストレージとオンプレミス型STaaSの違いを解説する。

2020年12月08日 05時00分 公開
[Stuart BurnsTechTarget]

関連キーワード

SAN | クラウドストレージ | ストレージ


 ストレージをサービスとして利用する「STaaS」(Storage as a Service)には、クラウドベンダーが所有・運用するストレージを使うクラウド型と、ユーザー企業の施設でストレージを運用するオンプレミス型がある。オンプレミス型STaaSは、クラウド型に続く第二段階だと言える。クラウド型STaaSは一般的には「クラウドストレージ」と呼ばれる。

 STaaSのメリットを生み出したのはクラウドストレージだ。だがクラウドストレージには下記のような課題がある。

  • ユーザー企業はストレージなどのインフラを自ら制御できない
  • ネットワークによる遅延により一部のビジネスクリティカルなアプリケーションには適さない
  • データを出し入れする際の料金が瞬く間に増額することがある
  • クラウドベンダーのデータセンターのトラブルがサービス停止を招く可能性がある

 クラウドストレージで発生するこうした課題は、オンプレミス型のSTaaSであれば回避できる。インターネット経由による遅延は発生せず、自社の都合に応じてストレージのリソースを利用可能だ。

クラウドストレージよりも「オンプレミス型STaaS」を選ぶべき理由

 オンプレミス型STaaSでは、IBM、Pure Storage、Zadara Storageといったストレージベンダーが物理的なストレージを提供するとともに、それらのストレージをリモート管理する。必要なハードウェアと運用管理サービスの両方のリースだと捉えることができる。ユーザー企業は追加のストレージが必要になった場合はベンダーに要求を出すだけでよい。ストレージの保守、ファームウェアのアップグレード、SAN(ストレージエリアネットワーク)の切り替えといった運用管理作業から解放される。

 SAS(Serial-Attached SCSI)やSATA(Serial-Advanced Technology Attachment)といったストレージ接続インタフェースをはじめ、ハードウェアのタイプを自由に選択して特定の用途向けにストレージを最適化できる点もオンプレミス型STaaSの利点だ。一般的にクラウド型では自由にハードウェアを選択することはできない。

 通常、オンプレミスのストレージは未使用のリソースがあり、無駄が発生してしまう可能性がある。オンプレミス型STaaSであれば、それほど心配する必要はない。使用した分だけ課金され、リソースは動的に調整できる。一般的なクラウドストレージはデータの入出力で料金が発生するが、オンプレミス型STaaSでは発生しない。

 オンプレミス型STaaSは、ユーザー企業がポータルサイトでストレージの使用を管理するセルフサービスとなっている。ストレージにはあらかじめバッファーとして大容量のストレージが搭載され、追加ストレージが必要な場合はすぐに割り当てることができる。従来のオンプレミスのストレージの場合、追加のストレージを導入するのに数カ月待たされることも珍しくなかった。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news136.png

ジェンダーレス消費の実態 男性向けメイクアップ需要が伸長
男性の間で美容に関する意識が高まりを見せています。カタリナ マーケティング ジャパン...

news098.jpg

イーロン・マスク氏がユーザーに問いかけた「Vine復活」は良いアイデアか?
イーロン・マスク氏は自身のXアカウントで、ショート動画サービス「Vine」を復活させるべ...

news048.jpg

ドコモとサイバーエージェントの共同出資会社がCookie非依存のターゲティング広告配信手法を開発
Prism Partnerは、NTTドコモが提供するファーストパーティデータの活用により、ドコモオ...