プライバシー保護にAIを生かす【第4回】
AI×データプライバシーが実現する「異常検出」「応対自動化」「消費者知識の強化」とは
データプライバシー管理に関わる業務を効率化し得るのがAI技術だ。どのような用途があるのか。
データへのアクセス権限を誰が所有するか、誰がそのアクセス権限を認定するかといった「データプライバシー」の管理ツールは、機械学習をはじめとするAI(人工知能)技術をさまざまな用途で役立てることができる。第3回「AI×データプライバシーの主な用途『データ特定』『フェデレーテッドラーニング』とは?」に続き、AI技術を活用したデータプライバシー管理ツールの具体的な用途を紹介する。
- データの特定(第3回で紹介)
- フェデレーテッドラーニング(第3回で紹介)
- 異常な挙動の検出
- 応対の自動化
- 消費者の知識の強化
3.異常な挙動の検出
AIモデルは、機械学習によって通常の挙動を認識し、異常を検出できるようになる。データプライバシー管理ツールはAIモデルのこうした特性を生かして、センシティブなデータへのアクセスに対する監視を強化できる。
エンドユーザーの挙動に対してアラートを出す必要があるかどうかの判断は、そのエンドユーザーや所属する組織の行動、そのエンドユーザーがアクセスしたデータの種類といった複数の要因に基づく。データプライバシー管理ベンダーDataguiseの創業者でCEOを務めるマンミート・シンハ氏によると、異常でないものも異常だと判断する過検知の発生回数を抑えてアラートを出すことに関しては、機械学習はルールベースのAI技術と比べて効率が高いという。
4.応対の自動化
データプライバシー管理に関するエンドユーザーからの要求で生じるやりとりを自動化することにも、AI技術は活用できる。具体的には「企業が自分に関してどのような個人情報を持っているか知りたい」といった「知る権利」、あるいは「個人情報を消去してほしい」といった「忘れられる権利」などだ。
「エンドユーザーが自分のプライバシーを重視するようになるにつれ、そうした要求は増加の一途をたどるだろう」とID管理ベンダーSailPoint Technologiesの上級セキュリティストラテジスト兼最高技術責任者(CTO)のマイク・カイザー氏は予想する。そうした場合、チャットbotのような形で会話型インタフェースにAI技術を導入し、バックエンドでさまざまなデータと連携させることができる。
5.消費者の知識の強化
法律事務所Culhane Meadowsのパートナー弁護士ピーター・カサット氏は、「企業はAI技術の活用に関する説明を通じて、一般消費者に自社のデータ保護ポリシーへの理解を深めてもらえる可能性がある」と話す。カサット氏によれば、規制当局は一般消費者の選択肢とオプトアウト(個人情報の提供拒否)の権利を確立することを重視してきた。これは「どんな情報が収集され、それがどう使われ、一般消費者にどのような選択肢があるのかを明記すること」だという。
企業はAI技術を活用する際、どのようなアルゴリズムやデータを利用し、その成果で何をするのかをうまく分解して説明できなければならない。その上で「情報の流れを制御できるようにすることで個人のプライバシーを強化できる」とカサット氏は説明する。
AI技術を組み込んだ契約ツールを提供するVAIOTで開発責任者を務めるジャクブ・コベルディス氏によると、データ流出を発見して消費者に通知する目的でもAI技術を使ったデータプライバシー管理ツールが台頭し始めているという。例えばGoogleはパスワード流出通知機能をWebブラウザ「Chrome」に搭載した。この機能は、通常ではアクセスできない「ダークWeb」を巡回して流出した認証情報を見つけ出し、エンドユーザーがアクセスしたWebサイトから個人情報が流出した可能性があると警告する。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[アトラシアン株式会社] IT運用や従業員サポートは生成AIでどう変わる? 使い方や導入の流れは? -
製品資料
[株式会社みらい翻訳] 音声翻訳活用の課題を解決、“本当に使える”ツールの特徴とは? -
製品レビュー
[Wrike Japan 株式会社] 400店舗を支えるWalmart Canada、散在する情報やアナログな管理をどう変えた? -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 年間100件超のDXプロジェクトを統合管理、JERAはどのように実現した? -
事例
[Wrike Japan 株式会社] グローバルなクリエイティブ業務を合理化、エスティーローダーに学ぶ実践のコツ
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
全社標準Copilotに絶望? MS Copilotで問い合わせ6割減できた企業は何が違った
-
2
身代金支払いは逆効果 情シスのためのランサムウェア対策ガイド2026
-
3
自社を守る「SCS評価制度」活用法 7割の企業が取引先起点の情報漏えいに直面
-
4
ランサムウェア、暗号化の89%は深夜 情シスが備える「夜間の空白」対策
-
5
多要素認証導入済みでもランサムウェア被害に 復旧費用は平均2億7000万円
-
6
「技術屋」で終わるか、部長へ昇格するか 今取りたい「IT×ビジネスの認定資格」5選
-
7
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
8
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
9
「AI活用を前提とした業務PCへの移行」に関するアンケート
-
10
AIエージェントを暴走させない設定、済んでますか? 対策5選を専門家が紹介
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
2
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
3
生成AIで文書活用を進めるには? 効率化と安全性をどう両立する
-
4
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
5
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
6
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
7
「スクラム」と「カンバン」の違いとは? アジャイル型開発手法を徹底比較
-
8
AI時代に成功するための「ナレッジマネジメント」ベストプラクティス
-
9
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
10
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー