前編「時代後れのVPNに代わるネットワークの構築」では、VPNの代替技術によるネットワークの構築について解説した。
テレワークに際しては、実用的なデスクトップ環境も提供しなければならない。これは従業員にノートPCを支給することで達成できるが、それが唯一のアプローチではない。
一部のIT部門は、オンプレミスサーバでCitrix SystemsやParallelsの製品あるいは「VMware View」を運用してユーザーの端末にアプリケーションをストリーミング配信している。
クラウドでVDIをホスティングするDaaS(Desktop as a Service)への関心も高まっている。VDIを運用するノウハウがない組織や、パブリッククラウドの柔軟性およびアジャイル性を求める組織は特にその傾向が大きい。
Forrester Researchは報告書「The future of VDI is cloud」(2019年7月)で、クラウドでデスクトップを手早く配備できる能力は、デスクトップを一時的に必要とする従業員に最適だと指摘している。特に、その従業員のPCを組織が管理できない場合にそれが当てはまる。
同報告書によれば、DaaSは従業員が物理的に分散している状況にも適している。「クラウドプロバイダーのデータセンターが支社の近くにあることを前提とすれば、複数の地域に従業員がいる組織にとってDaaSは理想的になった」
Forresterによると、DaaSは普段利用しているPCが使えなくなった場合に2次的なアクセス手段を提供できる点でも優れている。会社のノートPCを利用できないロックダウンの間、DaaSは実用的なアプローチを提供した。
ユーザーにアプリケーションを届ける手段はDaaSだけではない。コンテナも有効な選択肢になる。オックスフォード大学のある学部は、モバイル性と柔軟性が高い働き方に対応でき、学生が手持ちの端末で利用できるアプリケーションを提供する手段を探していたときに行き着いたのがそれだった。同学部はまた、複数のOSをまたいでそうしたアプリケーションをサポートする管理負担を減らしたかった。
オックスフォード大学社会科学部(OSSD)は、データサイエンスのための統計学ソフトウェア「Stata」、デスクトップ地理情報システム「ArcGIS」、性質データ分析ツール「NVivo」、双方向統計分析ソフトウェア「IBM SPSS Statistics」に学生たちがアクセスできる手段を必要としていた。同学部はそれまで、アプリケーションを実行できるWindows環境をデスクトップ仮想化で提供していた。
OSSDのIT管理者、リチャード・キンブル氏は言う。「学生たちはWindowsやLinuxデスクトップがさらに増えることを望んでいなかった。必要なのはアプリケーションだけだ」
キンブル氏の経験では、仮想デスクトップをサポートするためにはITインフラに相当のコストが必要だった。「私たちはフル仮想デスクトップの余計な負担を背負うことなく、高リソースを必要とするアプリケーションを簡単に管理・制御したいと思っていた」と同氏は振り返る。
OSSDは、もっとモバイル性が高く柔軟な働き方に対応でき、学生が私物の端末で利用できるアプリケーションを提供する手段を求めていた。複数のOSをまたいでそうしたアプリケーションをサポートする管理者の負担も減らす必要があった。キンブル氏によると、OSSDが求めていたのはハードウェアを問わず、ITチームがアプリケーションを管理できるアプローチだった。
OSSDはMSS UKと連携して、Droplet Computing製品を使ってコンテナ化したアプリケーションを導入することにした。これによってOSSDは単一のデリバリーの仕組みを構築し、MobileIron製品でアプリケーションを配信できるようになった。
アプリケーションをコンテナ化することで、アプリケーションへのアクセスを必要とする端末に一貫したWindows環境を確実に提供可能になった。
「学生が端末を授業に持ち込むかどうかも分からない。そんな端末に各アプリケーションをインストールする必要がなくなったのは絶大なメリットだ。しかも、それがどんな端末かを私が知る必要も、気にする必要もなくなった」とキンブル氏は話している。
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