2020年10月27日 08時00分 公開
特集/連載

クラウドベースのデスクトップ(DaaS)に円滑に移行する方法クラウドステージング戦略のススメ

新型コロナウイルス感染症対策としてDaaSを検討する企業は多いが、移行には課題も多い。従業員の反発を招くことなく円滑に移行するためには、クラウドステージングという戦略が有効だ。

[Jason E. Smith,Computer Weekly]
iStock.com/scanrail

 多くの企業が「どうすればユーザーをクラウドベースのデスクトップに移行できるか」という疑問を抱えている。事実「どのようなユーザーがクラウドベースのデスクトップに最適か」が最初の現実的な疑問になる。

 「クラウドステージング」という戦略がある。これは最新のクラウド技術を利用可能にして、デスクトップを新しいDaaSに簡単に切り替えられるようにしようというものだ。一元管理型のストレージが成熟しているため、AWS、Microsoft、Googleなどの大手プロバイダーを利用して物理デスクトップの移行をかなりシームレスに行えるようになっている。

 新型コロナウイルス感染症のパンデミック以降、在宅勤務の準備が整っていない状況や、リモートワークプラットフォームを提供する準備が整っていない状況を数多く目にしている。クラウドステージングはこの準備不足の状況を回避できる可能性がある。クラウドステージングは、ユーザーの生産性を中断することなくオンプレミスのデスクトップからクラウドベースのデスクトップへの「切り替え」を可能にする。

 ユーザーの目から見て「クラウドへの切り替えの準備ができている」という状況には、IT部門が認識すべき3つの課題がある。

  • アプリケーションのステージング

現在使っているアプリケーションを見つけ、それをクラウドで提供する。

  • ユーザー環境のステージング

ユーザーのプロファイルとポリシーを集めて、ユーザーにダウンタイムなく提供する準備を整える。

  • ユーザーが作成したデータのステージング

ミッションクリティカルなデータを置き去りにしないようにする。

 ここからは各ステップで必要な作業を詳しく見ていこう。

 そのためには、現在使っているアプリケーション全てを網羅するインベントリが必要になる。そして見つけたアプリケーションのうち、新たな運用システムと互換性を持たせる予定のアプリケーションを特定する。このインベントリ作成は、将来の管理負担を軽減できる優れたアプリケーションの提供方法があるかどうかを調査する機会にもなる。

 最も重要なのはユーザーだ。そのためユーザー環境のステージングは重要だ。「Windows」の既存のセッションからユーザープロファイルを正確に取得できる必要がある。プラットフォームの都合ではなくユーザーのポリシーに従ってユーザーが作成したデータを正確に維持し、セキュリティを確保することによってそのデータを保護することも必要だ。最後に、移行中もユーザーの生産性は維持しておきたい。

 では、クラウドステージングのベストプラクティスを準備する際に知っておくべき主な事柄を見ていこう。

アプリケーションのステージング

 これにはクラウドホスト型のアプリケーションをサポートするアプリケーション配信ソリューションが必要になる。こうしたソリューションには仮想型と階層型がある。理想的には、クラウド内でファイル共有やインフラを管理する必要がないように、オブジェクトベースのストレージソリューション(「Azure Blob Storage」「Amazon S3」「Google Cloud Storage」など)をサポートすることになるだろう。

ユーザープロファイルのステージング

 ユーザープロファイルは、オブジェクトベースのストレージをサポートし、利用予定のプロファイル形式もサポートする必要がある。例えば「Windows 10」の古いバージョンを利用している場合、プロファイルバージョンの更新によってプロファイルステージング計画が破綻しないようにしなければならない。

ユーザーが作成したデータのステージング

 ユーザーが作成したデータのステージングには、クラウドストレージを利用できるファイル領域とのバックグラウンド同期をサポートするソリューションが必要だ。そのソリューションが「Microsoft OneDrive」「Amazon WorkDocs」「Dropbox」などの主要ベンダーのサービスと互換性があることも確認しておきたい。

ユーザーエクスペリエンスと進捗の監視

 最後に、ユーザーの生産性に悪影響を及ぼすものを確認しておこう。そのためにデスクトッププラットフォームのユーザーエクスペリエンスを監視し、どのデスクトップが最善の品質を提供するかを証明できるようにする。また、クラウドとのデータ同期の進行状況も監視するためにさまざまな監視ソリューションを使う。監視するためにデータ同期の完了をスクリプト化することも可能だが、これはやや面倒だ。

 クラウドステージング戦略はテレワークを実現するのに利用できるだけではない。この戦略はさまざまな種類のデスクトップトランスフォーメーションに利用できる。さまざまな種類のデスクトップを共存させることも可能だ。ユーザーを全く新しいプラットフォームに切り替えさせることもできる。

 ユーザー中心の重要なデータ(アプリケーション、ユーザーが作成したデータ、ユーザープロファイルなど)をクラウドストレージとシームレスに同期し、クラウドストレージでホストしながら、ユーザーの生産性を落とさずに、必要に応じてユーザーが新しいデスクトップにログオンできるようにする。

 このようにしてクラウド中心のストレージとベストプラクティスを備えたクラウドステージングを行い、2020年以降に行う予定のデスクトップトランスフォーメーションの準備が整っていることを確認してほしい。

ジェイソン・E・スミス氏は仮想デスクトッププロバイダーLiquidware Labsの製品およびソリューション部門バイスプレジデント。

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