Windows 7のサポート終了という節目を目前に控え、DaaSやシンクライアントに力を入れるITベンダー。しかし、企業の関心は高くない。企業はWindows 10への移行をどのように考えているのか。
「Windows 7」のサポート終了まで1年を切り、IT担当者はデスクトップITに関する2019年の主要優先事項として「Windows 10」へのアップグレードを挙げている。
英Computer Weeklyと米TechTargetが実施した「IT Priorities 2019 Survey」(2019年IT優先度調査)によると、英国の回答者134人の52%が、2019年にWindows 10に移行する予定だと答えたという。ヨーロッパ、中東、アフリカでも同様だ。762人の回答者の44%がWindows 10に移行することを計画している。
2019年の調査結果でもIT担当者の半数以上がWindows 7のアップグレードが最優先のデスクトップITプロジェクトだと答えたのは驚きだ。つまり多くの企業がWindows 10に移行する仕事を相変わらず抱えているということだ。
DaaSやシンクライアントの導入意向についてはどうか。
Gartnerのアナリストであるランジット・アトウォル氏によると、2020年初めのWindows 7のサポート終了は、企業や政府機関がWindows 10にアップグレードする動機になるという。企業は古いPCを新しいWindows 10機器に置き換える形で移行に対応する可能性が高いというのがGartnerの見解だ。
IT優先度調査は、IT担当者がデスクトップIT戦略の転換にはあまり意欲がないことも示している。2019年にDaaSプロジェクトに取り組むと回答したのはわずか20%で、シンクライアントを導入すると答えた回答者も20%にとどまった。この結果から、IT担当者はDaaSやシンクライアントがWindowsデスクトップ環境の代わりになるという確信を持っていないことが分かる。
アトウォル氏が指摘したように、多くのIT部門はサードパーティー製アプリケーションを利用しており、こうしたアプリケーションの多くは他のOSに対応していない。ブラウザベースのアプリケーションやSaaSとして利用できるエンタープライズアプリケーションが増える中、IT担当者がWindowsに代わる手段に目を向けていないという事実は、企業のデスクトップ戦略が従来型デスクトップ環境から変わっていないことを示している。
アプリケーションプロバイダーの一部が自社のアプリケーションをクラウド化してDaaSとして提供することを望んでいないことが、企業の選択肢を狭めているのかもしれない。
Windows 10がWindows 7との下位互換性を確保していることを考えると、IT部門がこうしたデスクトップアプリケーションプロバイダーに圧力をかけない限り、そのプロバイダーがアプリケーションを新しいアプローチに対応させたり、新しいAPIやUWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)を利用したりする動機が存在しないという状況は変わらない。
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