Windows 10が企業に課す頻繁なアップデートを効率的に管理する方法はあるのか。企業がやりがちな「最も好ましくないアプローチ」とは何か。
Windows 10のアプリケーションテストをどう実行するかという問題に対し、どんな場合にも通用する万能薬は存在しない。だがGartnerの顧客が過度に楽観的、あるいは過度に悲観的と見なした2つのアプローチがある。
楽観的アプローチでは、「Windows 10はWindows 10」であり、いったん機能したアプリケーションは引き続き機能すると考える。最初にWindows 10に移行する段階で、それまでのOSバージョンアップと同様に全アプリケーションのテストを行い、以後はSACアップデートがリリースされてもテストは実施しない。
だがWindows 10はSACアップデートごとに重大な変更が加わるため、アプリケーションのテストを無視することはできないとGartnerは指摘する。アプリケーションが引き続き機能するかどうかを確認せずに新しいアップデートを配信すれば、動かなくなったアプリケーションを再び機能させるために変更を撤回する事態になり、いら立ちや生産性の低下につながりかねない。
そうした事態が生じたとしても、いずれはそのアプリケーションの障害を引き起こしたアップデートを適用しなければならない。企業はアプリケーションの修正や入れ替えに追われることになる。
この仕事を片付けるために最も好ましくない、だが珍しくないアプローチは、人材の採用またはアウトソーシングだ。多くの企業はWindows 10の導入以前からクライアントコンピューティング部門の人材不足に見舞われていた。エンドポイントOSを10年に1~2回ではなく1年~1年半に1回アップグレードすることになり、その問題は劇的に増大した。フルタイムまたはパートタイムの従業員を採用して人員を増やす以外に選択肢がないこともある。だが、プロセスを調整し、IT部門が新しい変更のペースに慣れれば、作業を完了するまでにかかる時間や、場合によっては人員も減らすことができる。
Windowsに関する従来の予算モデルは時代遅れになった。多額の営業経費を注入してIT部門と事業部に一時的な人員を割り当てれば、Windows 10を導入することはできるが、SACアップデートに必要とされる継続的な時間やリソースには対応できない。IT部門と事業部の人材を割り当て、Windows 10のアップデートごとに繰り返される作業やテストをすることは、その会社のOS戦略の成功にとって不可欠になる。
リスクベースのアプリケーションテストを行うことで、Windows 10の各アップデートは「Windows XP」やWindows 7のような従来のWindowsプロジェクトに比べて大幅に縮小される。従って、全体的な予算を劇的に増やす対応は適切ではない。かつてのようにアップグレードのために多額の予算を一時的に割り当てるのではなく、より頻繁になった小規模プロジェクトのために、予算を均等に割り当てる必要がある。
本稿はGartnerのアナリスト、マーク・ロックウッド氏による報告書「Managing the major changes Windows 10 imposes on your business」(Windows 10が企業に課す重大な変化を管理する)より抜粋。
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