2021年02月04日 08時00分 公開
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ビジネスプロセスの自動化を阻むボトルネックの見つけ方ボトルネック解消が成功の鍵

ビジネスプロセスの自動化を検討しているなら、まずボトルネックを最適化する必要がある。事例を参考に、自社に最適な方法論を見つけよう。

[Cliff Saran,Computer Weekly]
iStock.com/master1305

 ビジネスプロセスは、それを文書化した時点では有効だったとしても、人々がそのプロセスに従い始めるや否や進化する。インテリジェントなビジネスプロセス戦略を開始するには、そのプロセスが現在どのように運用されているかを理解する必要がある。

 TIBCO SoftwareでCTO(最高技術責任者)を務めるネルソン・ペトラセック氏は次のように話す。「人々はチャンスがあれば近道を見つける。不必要な手順や仕事、ボトルネックをうまく避ける方法を発見するかもしれない。不正などの望ましくない行動はプロセスの実行に悪影響を及ぼす」

 ビジネスプロセスの自動化を検討する場合は、その最適化戦略の出発点としてこうした行動を把握することをペトラセック氏は推奨する。この視点がなければ最適化に適切な技術を特定するのが難しくなるだけでなく、改善のための測定やベンチマークも難しくなる。

 プロセスやリソースの使用状況を検出するのがプロセスマイニングだ。プロセスマイニングでは、システムログやアプリケーションログを分析する。検出したデータに関連分析モデルを適用することで、ビジネスプロセスのバリエーション、パターン、ボトルネックを初めて理解できるとペトラセック氏は語る。これによって、最適化を優先すべきビジネスプロセスを判断するための情報を得ることができる。

 ビジネスプロセスの仕組みを理解するもう一つの方法が、トヨタ自動車をルーツとするVSM(Value Stream Mapping)だ。

 製造業では、VSMは工場のある部分から次の部分への「物と情報の流れ図」として使われると話すのは、AXELOSでITサービス管理製品のアンバサダーおよびエバンジェリストを務めるアクシェイ・アナンド氏だ(訳注:詳しくは「なぜ業務を自動化しても業務が効率化しないのか」を参照)。

ボトルネックの解消とモダナイズ

 効率的な運用を妨げるボトルネックを調べ、それを回避するプロセスを実行している企業の一例がCosentinoだ。

 同社は過去3年をかけてDX(デジタル変革)を進めてきた。同社の成長を支えるDX戦略の中心となるのがビジネスプロセスのマッピングと最適化だ。

 17人の従業員を擁して地方で大理石採石場を営んでいた同社は、家族経営を維持しながらわずか40年で、32カ国で事業を展開する企業に変貌した。本当のグローバル企業へと進化するには、事業を運営する方法と従業員の働き方を改善する必要がある。そのため、IT部門はビジネスプロセス最適化プロジェクトに取り組むことになったと話すのはCosentinoでIT部門のディレクターを務めるルイ・ノバイス氏だ。

 「事業担当者に働き方の改善を求めるプロセスはたくさんある」と同氏は語る。

 ノバイス氏によると、これまでのビジネスプロセスに対する、より構造化したアプローチの考案に取り組んでいる。

 例として、それまで構造化されていなかった新入社員研修プロセスを最適化したと同氏は話す。旧来の新入社員研修プロセスには複数の担当者が関与し、新入社員が全ての研修を終えるまで7日間かかっていた。

 このプロセスを最適化したアプローチをノバイス氏は次のように説明する。「まずペンと紙を使ってこのプロセスを定義した。次に、定義したプロセスをTIBCO製品でモデル化し、プロセスの仕組みにあるギャップを特定して目標を記述した」

 新入社員研修の全体的な目的は、仕事に必要な全てのアプリケーションを習得させることだ。

 ノバイス氏によると、Cosentinoはボトルネックの把握にダッシュボードを使っているという。「このダッシュボードにより、プロセスを定期的に見直すことができる」と同氏は補足する。

 同社は「Microsoft Azure」とTIBCOクラウドを基盤とするクラウド戦略を用意し、SAP ERPのレガシーシステムを拡張するアプリケーションを積極的に構築している。Cosentinoは購買から支払いまでを行う新しいビジネスプロセスをERPの外部で運用するようになり、このプロセス向けにERPからデータを抽出しているとノバイス氏は語る。その後、ERPにデータをフィードバックしてERPを最新状態に維持する。

インテリジェンスの追加

 手作業のプロセスを減らすためにアプリケーションをモダナイズするのは、ビジネスプロセスを最適化する重要な段階だ。だが、次に来るのはインテリジェンスの追加だ。Citizens Bankはまさにこの段階を始めたところだと話すのは、同銀行で住宅ローン部門のバイスプレジデントを務めるロバート・J・ブッシュ氏だ。

 「当銀行はInfosysとパートナー提携を結び、AIを適用したInfosysの機能を利用して住宅ローン情報の抽出と監査のプロセスを自動化している。手作業と手直しを大幅に削減することで新しいローンポートフォリオの登録を迅速化し、顧客体験を向上させることができた」(ブッシュ氏)

 フランスの保険会社Covéaは、Ivaluaの調達ツールを利用して調達プロセスを完全にデジタル化した。同社は2012年からIvaluaのツールを利用していたが、最近になって電子署名を使って手作業のプロセスを取り除いた。そう話すのは、Covéaで最高調達責任者を務めるシルビー・ノエル氏だ。

 同社はコグニティブソーシングのトライアルプロジェクトも開始している。このプロジェクトでは、チャットbotとAI駆動型のスマート契約サマリーが契約から関連するデータや条項を自動的に抽出し、レビューや契約締結のために提示する。

 AIは確かにビジネスプロセス最適化戦略の一環として導入できる。だが、AXELOSのアナンド氏が指摘するように、インテリジェントな自動化が根本的な問題を解決するとは限らない。

 McKinseyのシニアパートナーを務めるアレックス・エドリッヒ氏とビィック・ソホニ氏は、2019年に公開した論文で自動化を迅速な解決策として利用するのではなく、ビジネスプロセスの問題点に対処するメリットを説明した。さらに「必要な結果を隅々まで把握して成果を測定する方が、特定の問題点にロボットを使って応急措置を施すよりも優れている」と記述している。

 「即座に対処すべき問題点はないと言っているわけではない。だが、何千ものbotを大規模に導入することが常に最善策になるとは限らない。希望する目標が何かを把握してから、botが役立つか役立たないかを考える方が優れている」

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