セキュリティに心理学を応用する【後編】
“想定外”に動じない心の準備「コグニティブレディネス」 測定の必要性は?
セキュリティにおける想定外の事態に対処できるようにする心の準備「コグニティブレディネス」。その習熟度測定に意味はあるのか。セキュリティ対策にもたらす影響とは。心理学者が解説する。
中編「燃え尽き症候群のセキュリティ管理者を救う『コグニティブレディネス』への期待」に続く本稿は、変化する状況にうまく対処できる心の準備態勢「コグニティブレディネス」の習得度を測定する必要性やセキュリティ対策への応用の可能性を紹介する。コグニティブレディネスの重要性を主張する、セキュリティベンダーImmersive Labs顧問の心理学者、レベッカ・マッキオン氏のインタビューを基にした。
―― コグニティブレディネスが身に付いているかどうかの測定は必要でしょうか。
マッキオン氏 「測定できなければ何の価値もない」という考え方があるのは確かだ。ただしコグニティブレディネスのような心理的スキルの醸成に関して言えば、こうした考え方は限定的だろう。「『学習』と『行動の変化』の間に明らかな関連性があるとは限らない」ことを理解してもらうのは難しい。誰もが違う思考パターンや違う態度を持っている。多様性がある中でコグニティブレディネスを測定する指標を作ることは難しい。
―― 身代金要求型マルウェア「ランサムウェア」による攻撃や、商流で関わる企業を足掛かりに攻撃を仕掛ける「サプライチェーン攻撃」で、インシデントレスポンスが一層注目されています。今後コグニティブレディネスをセキュリティに活用する研究への注目度は高まるでしょうか。
マッキオン氏 可能性はある。セキュリティ分野では概して技術に大きな重点が置かれている。コグニティブレディネスに関しては相当な研究がなされているが、セキュリティ分野ではまだ主流ではない。
私としては人的要因がもっと注目されることを望む。技術で何もかも解決することはできない。人は業務プロセスの一部だ。セキュリティ担当者と攻撃者の考え方を理解することは、セキュリティ業務を大いに支えるだろう。
―― セキュリティ研修の心理学研究に関して最も関心があることは何ですか。
マッキオン氏 セキュリティの発展を心理学が支援できる可能性にわくわくしている。われわれ心理学者は、なぜ人が技術と同じくらい大切なのかを理解してもらう手助けをしなければならない。
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