企業がデータセンターでVMを稼働させる場合は、ハイパーバイザーとネットワーク、VM管理ソフトウェアを用意することが一般的だ。自宅でVMを動かすときはどうなのか。それぞれの必要性と選び方を説明する。
IT管理者は自宅に仮想マシン(VM)を構築し、自身の業務や仮想化技術の勉強のために利用することができる。自宅でVMを稼働させるためのハードウェアやソフトウェアの要件は、企業のデータセンターでVMを利用するときの要件とは異なる。ハードウェア選びのポイントを説明した中編「仮想マシン(VM)が自宅で快適に動く『CPU』『メモリ』『ストレージ』の選び方」に引き続き、自宅利用に適したハイパーバイザーとネットワーク、VM管理ソフトウェアの選び方を説明する。
ハイパーバイザーについては、IT管理者は自分にとって使いやすいものを予算に応じて選べばよい。例えばMicrosoftの「Hyper-V」を使い慣れており、VMwareの「vSphere」をあまり使ったことがない場合は、Hyper-Vを選ぶとよい。
Hyper-Vの利用方法は幾つかある。IT管理者はサーバOS「Windows Server」の機能としてHyper-Vを利用できることに加え、Hyper-Vの無償版である「Hyper-V Server」を使うことも可能だ。クライアントOS「Windows 10」付属のHyper-Vを使用することもできる。ただしWindows Server付属のHyper-Vと比べて機能が限られている。
利用可能なハイパーバイザーはHyper-VとvSphereだけではない。「KVM」などのオープンソースハイパーバイザーもよく使用されている。
VMにアクセスするには、ネットワークが必要だ。ネットワークを評価する際は、無線LANでアクセスできないハイパーバイザーがあることに注意する必要がある。VMを稼働させる最低限の条件として、有線ギガビットイーサネット(GbE)接続ができるようにしておく必要がある。
家庭用のほとんどの無線LANルーターは、有線LANのイーサネットポートを備える。無線LANルーターの搭載数より多くのイーサネットポートを必要とする場合を除き、ネットワークスイッチに新たに投資する必要はない。
自宅のVM用ネットワークとしてはGbEだけでなく、データ伝送速度が10Gbpsの10GbE も選択肢になりつつある。10GbEのハードウェア価格が下がったためだ。10GbEはテレワーク用としては十分過ぎる場合もあるが、最初から10GbEを配備しておけば将来への備えになる。
IT管理者はVM管理ソフトウェアを導入するかどうかも考慮する必要がある。ハイパーバイザーのvSphereやHyper-VにはVMの作成と管理に必要な機能が一通りそろっているため、基本的な管理機能だけで十分なら他のソフトウェアを追加購入する必要はない。
主要なハイパーバイザーベンダーは、多数のVMを使う大規模な仮想インフラの管理を簡素化するための補助的なVM管理ツールを提供している。例えばVMwareは「vCenter Server」を、Microsoftは「System Center Virtual Machine Manager」をVM管理ツールとして提供している。サードパーティーベンダーのツールも利用可能だ。
大量のVMを使う大規模な仮想インフラを自宅に構築する場合、IT管理者はこうしたソフトウェアに投資することも検討する必要がある。サーバ仮想化技術の勉強のためにVMを構築する場合も、VM管理ソフトウェアを購入するとよいだろう。
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