仮想マシン(VM)を自宅で動かす場合の「ハイパーバイザー」「ネットワーク」の条件とは? 「VM管理ソフトウェア」は必要か?「仮想マシン」を自宅で動かすための製品選定ガイド【後編】

企業がデータセンターでVMを稼働させる場合は、ハイパーバイザーとネットワーク、VM管理ソフトウェアを用意することが一般的だ。自宅でVMを動かすときはどうなのか。それぞれの必要性と選び方を説明する。

2021年08月13日 05時00分 公開
[Brien PoseyTechTarget]

 IT管理者は自宅に仮想マシン(VM)を構築し、自身の業務や仮想化技術の勉強のために利用することができる。自宅でVMを稼働させるためのハードウェアやソフトウェアの要件は、企業のデータセンターでVMを利用するときの要件とは異なる。ハードウェア選びのポイントを説明した中編「仮想マシン(VM)が自宅で快適に動く『CPU』『メモリ』『ストレージ』の選び方」に引き続き、自宅利用に適したハイパーバイザーとネットワーク、VM管理ソフトウェアの選び方を説明する。

「ハイパーバイザー」の選び方

会員登録(無料)が必要です

 ハイパーバイザーについては、IT管理者は自分にとって使いやすいものを予算に応じて選べばよい。例えばMicrosoftの「Hyper-V」を使い慣れており、VMwareの「vSphere」をあまり使ったことがない場合は、Hyper-Vを選ぶとよい。

 Hyper-Vの利用方法は幾つかある。IT管理者はサーバOS「Windows Server」の機能としてHyper-Vを利用できることに加え、Hyper-Vの無償版である「Hyper-V Server」を使うことも可能だ。クライアントOS「Windows 10」付属のHyper-Vを使用することもできる。ただしWindows Server付属のHyper-Vと比べて機能が限られている。

 利用可能なハイパーバイザーはHyper-VとvSphereだけではない。「KVM」などのオープンソースハイパーバイザーもよく使用されている。

「ネットワーク」の選び方

 VMにアクセスするには、ネットワークが必要だ。ネットワークを評価する際は、無線LANでアクセスできないハイパーバイザーがあることに注意する必要がある。VMを稼働させる最低限の条件として、有線ギガビットイーサネット(GbE)接続ができるようにしておく必要がある。

 家庭用のほとんどの無線LANルーターは、有線LANのイーサネットポートを備える。無線LANルーターの搭載数より多くのイーサネットポートを必要とする場合を除き、ネットワークスイッチに新たに投資する必要はない。

 自宅のVM用ネットワークとしてはGbEだけでなく、データ伝送速度が10Gbpsの10GbE も選択肢になりつつある。10GbEのハードウェア価格が下がったためだ。10GbEはテレワーク用としては十分過ぎる場合もあるが、最初から10GbEを配備しておけば将来への備えになる。

「VM管理ソフトウェア」の選び方

 IT管理者はVM管理ソフトウェアを導入するかどうかも考慮する必要がある。ハイパーバイザーのvSphereやHyper-VにはVMの作成と管理に必要な機能が一通りそろっているため、基本的な管理機能だけで十分なら他のソフトウェアを追加購入する必要はない。

 主要なハイパーバイザーベンダーは、多数のVMを使う大規模な仮想インフラの管理を簡素化するための補助的なVM管理ツールを提供している。例えばVMwareは「vCenter Server」を、Microsoftは「System Center Virtual Machine Manager」をVM管理ツールとして提供している。サードパーティーベンダーのツールも利用可能だ。

 大量のVMを使う大規模な仮想インフラを自宅に構築する場合、IT管理者はこうしたソフトウェアに投資することも検討する必要がある。サーバ仮想化技術の勉強のためにVMを構築する場合も、VM管理ソフトウェアを購入するとよいだろう。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 株式会社シーイーシー

VMware製品のライセンス変更を契機に策定する、企業ITインフラの新戦略

VMware製品の永続ライセンスが廃止され、新ライセンスモデルが導入されたことで、多くの企業はITインフラ戦略の再検討を迫られている。本資料では、3つの選択肢のメリットとデメリットを整理し、最適な判断を下すための方法を紹介する。

製品資料 株式会社シーイーシー

vSphere環境からの移行術、AzureとNutanixによる柔軟なインフラ基盤構築を紹介

VMwareの体制変更を機に、IT基盤のクラウド移行を検討する組織が増えつつある。そこでMicrosoft AzureとNutanixを活用した柔軟なインフラ基盤の構築方法や、実際の成功事例を解説。VMwareからの移行を検討中の担当者はぜひ確認してほしい。

技術文書・技術解説 ニュータニックス・ジャパン合同会社

ベンダーロックインを伴わずに、優れた仮想化テクノロジーへ移行する方法とは

仮想化環境の移行は、チームがどれだけ高いスキルを有していても困難を伴う。「今の環境と同じ機能を利用できるか」などのチェック事項も多い。そこで、ベンダーロックインを伴わずに、優れた仮想化テクノロジーへ移行する方法を紹介する。

製品資料 ニュータニックス・ジャパン合同会社

VMwareによる仮想化環境からの移行を簡素化する方法とは?

IT環境の多様化・複雑化に、VMware買収の話が加わって、組織のIT担当者の悩みは増える一方だ。このような状況において、管理運用の簡素化とリスクの軽減をどのように実現すればよいだろうか。

市場調査・トレンド ニュータニックス・ジャパン合同会社

「VMware買収後」の仮想化戦略 企業はどのように対処すべきか

BroadcomはVMware買収後、製品ポートフォリオやライセンス体系に大きな変更を加えた。ユーザー企業はこの変化にどのように対処し、今後のIT戦略、仮想化戦略を検討、構築していけばよいか。

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ
ネットワークの問題は「帯域幅を増やせば解決する」と考えてはいないだろうか。こうした誤解をしているIT担当者は珍しくない。ネットワークを快適に利用するために、持つべき視点とは。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...