ストレージAPIは多義的な用語であり、提供者や場面によって意味が異なる。本稿ではストレージAPIという用語の再整理を試みる。
現代のWebはWeb APIに基づいて構築されていると言える。APIによって、Webアプリケーションは他の場所のサービスや情報にアクセスできる。
Webコンテンツは、さまざまなオンラインソースの集約を基盤とする。昔はこれを「マッシュアップ」と呼んだ。「Internet 2.0」と呼ばれることもあった。だが、そうした呼称は過去のものとなり、APIの利用はITの構造の一部にすぎなくなった。
本稿で取り上げるストレージAPIは、Webを軸とするアプリケーションにストレージサービスを提供する。
「ストレージAPI」というだけではその意味は曖昧だ。APIはあるソフトウェアと別のソフトウェアの接続を可能にするコードにすぎない。
ストレージアレイメーカーが「ストレージAPI」と言えば、自社の製品を監視、制御するソフトウェアを作成できるAPIを指す可能性がある。ブラウザベースのアプリケーションがデータをローカルに保持できるWeb開発インタフェース「localStorage」を指すこともある。
本稿では別の点に注目する。取り上げるのは、サードパーティーのストレージまたはストレージサービス(データベース、データレイク、データウェアハウス)を提供するAPIだ。
ストレージAPIは、以下のように分類できる。
本稿で取り上げるカテゴリーの定義は、中小企業がストレージやオフィススイートに接続するシナリオに適している。本稿でこのようなサービスに「接続する」と表現する場合、GET、POST、PUTなどのHTTPメソッドを使ってデータをCRUD(作成:Create、読み取り:Read、更新:Update、削除:Delete)することを表す。
BoxとDropboxは、データに対するCRUD操作をアプリケーションに組み込めるAPIを公開している。APIアクセスは、一定の制限以下であれば無料だ。
Microsoft Graphは多くのMicrosoft製品にアクセスできるAPIプラットフォームだ。同社は開発者向けに無料のMicrosoft 365アカウントを提供する。一定量を超えるとアクセスしたGraphオブジェクトの数を基に課金される(プレビュー期間は1000オブジェクト当たり0.375ドル、プレビュー期間終了後は0.75ドル)。
Google Workspaceは、GoogleのさまざまなアプリケーションへのAPIアクセスを提供する。無償のトライアルサブスクリプションは14日間に限定されている。
「Amazon Web Services」(AWS)、「Microsoft Azure」「Google Cloud Platform」(GCP)などのストレージへのアクセスは基本的にAPIベースで、RESTやHTTPコマンドが使われる。
APIを使って「Amazon RDS」「Azure SQL Database」「Cloud SQL」(SQL)や「Amazon DynamoDB」「Azure Cosmos DB」「Cloud Datastore」(NoSQL)などのデータベースサービスにもアクセスできる。AWS、Azure、GCPは「MongoDB」「Scylla」「PostgreSQL」などのデータベースも利用できる。
小企業や開発者に無料枠を用意しているクラウドプロバイダーもある。
より複雑なデータストレージやデータレイク、データウェアハウスなどにもAPIでアクセスできる。Microsoftは「Azure Data Lake」、AWSは「Amazon Redshift」、Googleは「BigQuery」を提供している。
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