テレワークが定着する中、米国では引き続きPCの出荷が好調だ。ただしタブレットの出荷がマイナス成長に転じたり、世界ではPC出荷の成長率が落ちていたりといった見逃せない動きがある。PC市場で何が起きているのか。
調査会社Canalysによると、2021年第2四半期(4月~6月)の米国のPC(タブレット含む)出荷台数は、前年同期比約17%増の約3680万台だった。米国PC市場は、深刻な半導体不足の影響を受け出荷に遅れが生じたものの、企業と教育機関の需要がけん引して活況を呈しているという。
最も出荷台数の伸びを見せたのは、ノートPCだった。在宅勤務などのテレワークの定着を追い風に、出荷台数が前年同期比で約27%増えた。デスクトップPCも堅調に推移して出荷台数は同23%増を記録。一方でタブレットは同1%減となり、やや低迷した。
Canalysでアナリストを務めるブライアン・リンチ氏は、「オフィスワーカーや学生が自宅でより快適に仕事や学習ができる環境を整えるためにPCを買い替える動きが加速した」とみる。今後も企業がテレワークを継続すれば、PC市場は伸び続ける可能性が高いという。
そうした中、タブレットの出荷が減少したのは、教育機関でのタブレット離れが響いたとリンチ氏は分析する。メーカー各社はノートPCに代わる選択肢としてタブレットを訴求してきた。だがキーボードを備えて「書く作業」に適していることから、ノートPCの方が買い手の人気を集めたということだ。
調査会社Gartnerが発表した2021年第2四半期の世界のPC出荷台数をみると、“伸びる勢い”に関して、Canalysの調査に基づいた米国との違いが明らかになる。
Gartnerは、タブレットと「Chromebook」を除いた、グローバルでのPC出荷台数を集計した。Chromebookは、GoogleのOS「Chrome OS」を搭載したノート型デバイスだ。Gartnerによると、世界の2021年第2四半期におけるPC出荷台数は、前年同期比4.6%増えた。同30%以上増を記録した2021年第1四半期(1月~3月)から、伸び率が大幅に鈍化した。同社は、半導体不足によって各種PCの価格が上昇し、出荷待ち期間が長くなっていることで企業が買い替えを控えたとみる。
半導体不足は特に大企業でのPC購入に影響している。Gartnerによると、中小企業や一般消費者は、価格が上がってもPCを購入する。購入台数が少なく、値上げの影響が限定的なためだ。一方でPCを一度に大量に購入する大企業は価格が上がれば、買い替えを先延ばしするという。同社は半導体不足が続く中、2021年第3四半期(7月~9月)の世界のPC出荷台数についても低調を見込んでいる。
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