テレワークの普及は、企業における会議の在り方を大きく変えている。会議といえば対面会議だった時代はもう終わり、Web会議が主要な会議手段としての地位を築きつつあるのだ。Gartnerの調査から、会議の実態を探る。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)で、企業や従業員は突然テレワークを余儀なくされた。一夜にしてテレワーク主体の勤務形態に転換せざるを得なかった企業にとって、業務を継続する手段として役立ったのがWeb会議ツールだった。調査会社Gartnerが2021年8月に発表した調査レポート「Gartner 2021 Digital Worker Experience Survey」は、Web会議ツールの重要性をあらためて浮き彫りにした。
Gartnerは調査レポートの作成に当たり、米国、欧州(英国、ドイツ、フランス)、アジア太平洋地域(日本、中国、インド、シンガポール、オーストラリア)において、従業員数100人以上の企業に所属する1万80人の正社員を対象に調査を実施した。調査期間は2020年11月〜12月だ。同社は2019年3月〜4月にも同様の調査を実施し、米国、欧州、アジア太平洋地域の7261人から回答を得ている。
Gartner 2021 Digital Worker Experience Surveyは、企業の従業員を対象とした調査結果をまとめている。この調査レポートの大きなポイントは、Web会議ツールなどの「コラボレーションツール」(注1)の利用がパンデミックにより大幅に増えたことだ。調査レポートによると、仕事でコラボレーションツールを使うとの回答者は、2019年春には回答者全体の55%と半数程度だったところ、2020年末には79%と8割近くに達した。
※注1 Gartnerは「Webex」「Zoom」「Slack」「Microsoft Teams」など、従業員同士が協働する際に利用するコミュニケーションツールを「コラボレーションツール」と定義。
オンラインストレージやファイル共有などの「ストレージ/共有ツール」、チャットツールなどの「リアルタイムモバイルメッセージングツール」を利用する従業員の割合も増加した。ストレージ/共有ツールを利用しているとの回答は、2020年末の調査では74%で、2019年春調査の64%から伸びた。リアルタイムモバイルメッセージングツールを利用しているとの回答は、2020年末調査では80%で、2019年春調査の75%から伸びている。
会議時間の内訳に関する調査結果を見ると、2019年春調査では対面会議が会議時間全体の63%を占めていたが、2020年末調査では33%に低下した。Web会議ツールの利用が拡大したことが背景にある。対面会議からWeb会議への移行は今後も続く見通しだ。Gartnerは、テレワークなどの働き方の変化により、企業の会議時間全体に占める対面会議の割合は2024年までに25%まで減少すると予想している。
「企業は概して、長期的にはハイブリッドワークへの移行を目指している」と、Gartnerのプリンシパルリサーチアナリスト、クリストファー・トゥルーマン氏は話す。ハイブリッドワークとは、テレワークとオフィスワークを組み合わせた勤務形態だ。トゥルーマン氏は、個人やチームの生産性向上を支援するコラボレーションツールが、「テレワークやハイブリッドワークに従事するさまざまな従業員の要件を満たす、一連の新しいワークハブ(業務拠点)の要を成している」と指摘する。
IT部門は、どのような形式の会議でも、参加場所を問わず、全ての会議参加者が公平にツールを利用し、リソースにアクセスし、協働できるシステムを整えることが重要だ。
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