NAND型フラッシュメモリの価格は緩やかに上昇して緩やかに下がる。変動要因の一つは需要の変化だ。大容量HDDとSSDなどフラッシュストレージの置き換えが進むのかどうかが鍵になる。
NAND型フラッシュメモリは供給不足による価格上昇のトレンドにある。だがその動きに関係なく、企業はSSD(ソリッドステートドライブ)などのストレージを通常通りの計画で購入すればいい。「将来的に使う分を買い置きしておく必要はない」と調査会社Objective Analysisのジム・ハンディ氏は述べる。
ハンディ氏の予測によれば、NAND型フラッシュメモリの価格は2021年末にかけて緩やかに上昇した後、2022年半ばまで横ばいで推移し、それ以降は緩やかに下がる。2022年中に大幅に下落することはないという。
通常、NAND型フラッシュメモリなどのコモディティ製品が供給過剰になると、その価格は下落し、もともと利益率の低いNAND型フラッシュメモリベンダーの価格に近づく。「価格が大幅に下落すればそうしたサプライヤーの製造コストを下回る。そのような状況は考えにくい」とハンディ氏は言う。
今後のNAND型フラッシュメモリの価格に影響するのは需要の変化だ。ハンディ氏によると、スマートフォン市場の拡大やテレワークやオンライン授業の増加によるSSDの利用増加など、需要を押し上げる要因がある。
今後、NAND型フラッシュメモリはより大容量化する方向で開発が進む。調査会社Gartnerのジョセフ・アンスワース氏は、NAND型フラッシュメモリの注目点として下記2つを挙げる。
こうした高密度技術は、大容量ストレージの需要に応えるための技術だ。一方で調査会社TRENDFOCUSのドン・ジャネット氏は、法人市場においてQLC方式は非常に“ニッチ”な領域になると予測する。QLC方式のフラッシュストレージを出荷し始めるベンダーは増える可能性があるものの、その数量は限定的になる。「より安価な大容量HDDを一気に置き換える現象はすぐには起こらない」とジャネット氏はみる。
QLC方式はコストやベンダーサポートにおいて競争力が劣る可能性があることに加えて、主要なデータセンター事業者が「まだHDDで十分だ」と考えている背景もあり、ジャネット氏は「法人市場のQLC方式はしばらく苦戦するだろう」と語る。
一方でジャネット氏によれば、大容量のニアラインHDDは売上高、出荷台数、出荷容量ともに2021年第2四半期(4月〜6月)に増加した。ニアラインHDDは利用頻度の高いデータ用のストレージと、長期保存するデータ用のストレージの中間的な役割を果たすHDDを指す。特に容量16TB、18TBのHDDの成長が目立っているという。
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