フォルクスワーゲンが注力するArmベースのソフトウェア定義自動車開発SOAFEEはスタンダードになるか

VolkswagenはArmを発起人とする「Scalable Open Architecture for Embedded Edge」(SOAFEE)に参画している。SOAFEEが目指すソフトウェア定義自動車の現在の課題とは何か。

2021年11月01日 08時00分 公開
[Cliff SaranComputer Weekly]

 Volkswagenの自動車ソフトウェア事業を担うCARIADは、ソフトウェア定義自動車の開発を推進するため、Armのイニシアチブ「Scalable Open Architecture for Embedded Edge」(SOAFEE)に取り組んでいる。

 SOAFEEはソフトウェア定義自動車の実装をサポートするオープン標準。その狙いは、このオープンソース実装を開発して広範なプロトタイピング、ワークロードの調査、早期開発を可能にすることだ。Armによると、商用ソリューションの主要プロバイダーとも連携して新しい標準との互換性を最大限に高め、機能的に安全な設計への迅速な道筋を提示するという。

 CARIADのリクレフ・シュミット=クラウゼン氏(シニアバイスプレジデント)は言う。

iStock.com/metamorworks

 「ソフトウェア定義自動車は予想よりもはるかに早く実現する。これに必要なインフラは現在開発中だ。ただし、業界は幾つかの大きな課題に直面している」

 「クラウドで開発したアプリケーションを異種エッジプラットフォームにシームレスにデプロイするためのクラウドネイティブなソフトウェアインフラの構築や広範なハードウェアプラットフォーム間でソフトウェアの移植性などだ」

 「この新たな進化のパイオニアとして、CARIADはArmと密接に連携して技術課題を解決し、ソフトウェア定義の未来に向けて強力な基盤を築いている」

 Armによると、この標準と新たな開発プラットフォームは医療、製造、物流などの分野のロボット工学にも応用できるという。自動車の場合、ソフトウェア定義の機能は消費者のニーズに応える安全で新しい車内体験と車内機能を提供する。さらに重要なのは、自動車メーカー、ソフトウェアベンダー、クラウドサービスプロバイダーに新たな収益をもたらし、顧客エンゲージメントの機会を解き放つことだとArmは言う。

 ArmはADLINK Technologyと提携し、Ampere Computingの「Altra」(80のArmコアを実装したプロセッサ)を導入した。これにより、運転席、高度運転支援システム、パワートレイン、自動運転などのアプリケーション用SOAFEEレファレンスソフトウェアを使ってArmプロセッサでのワークロードの調査と開発が可能になるという。

 開発プラットフォームは、ワークステーションと頑丈な車載製品で構成される。車内でプロトタイピングやテストを行うことも可能だ。

 Armのチェット・バブラ氏(自動車およびIoT業務のバイスプレジデント)は次のように話す。「自動車部門は重大な転換点を迎えている。IP設計から自動車メーカーに至るサプライチェーンの再検討や定義が始まっている。業界は、ソフトウェア定義の未来についてのビジョンを加速することをArmとそのエコシステムに求めている」

 「サプライチェーンにおける独特な立ち位置のおかげで、Armは自動車アプリケーションの安全性とリアルタイムのニーズに合わせて設計された標準、ソフトウェア、開発者リソース、特殊な処理プラットフォームを提供する取り組みを主導している」

 このイニシアチブをサポートする企業は他にも、Amazon Web Services、Apex.AI、Continental、Green Hills Software、Linaro、Marvell Technology Group、MIH Consortium、Red Hat、SUSE、ウーブン・プラネット・ホールディングス、Zing Roboticsなどが名を連ねている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

譁ー逹€繝帙Ρ繧、繝医�繝シ繝代�

製品資料 株式会社ジャストシステム

ノーコードで基幹システム運用を改善、解決できる課題やツール選びのコツを解説

基幹システム運用の課題を解消すべく、ノーコード開発ツールを導入する動きが加速している。数あるツールの中からどのようにツール選定を進めたらよいのか、またどのような課題を解決できるのか、具体的なツールも含めて解説する。

事例 株式会社ジャストシステム

ベンダーに依存しないシステムを自社で開発、東亜建設工業に学ぶその推進方法

老朽化したシステムの刷新に向けノーコード開発ツールを導入した「東亜建設工業」。その活用により、ベンダーに依存することなく柔軟性と持続可能性の高いシステムの構築を推進できる体制を実現している。同社の取り組みを詳しく紹介する。

事例 株式会社ジャストシステム

ノーコード開発で大幅な業務効率化を実現、「八千代工業」の取り組みとは?

社内業務の徹底的な効率化を目指す「八千代工業」。最初に導入したRPAでは、紙に依存した業務への対応は難しかったが、これらをデジタル化するためにノーコード開発ツールを使ってアプリを開発し、大きな成果を挙げている。

製品資料 株式会社ジャストシステム

IT人材不足を補うノーコード開発、全社DXにつながるツール選定の4つのポイント

IT技術の重要性が高まる一方、IT人材不足が加速している。その不足を埋めるため、自社の業務システムをノーコードで開発する動きが広がっているが、ノーコード開発を導入する際には、将来的な全社DXを考慮してツールを選ぶ必要がある。

製品資料 株式会社ジャストシステム

プロコード/ローコード開発による業務のシステム化、作業の属人化をどうする?

業務効率化に有効なシステム化だが、プロコードやローコードによる開発では場合によって複雑なコーディングが必要となり、かえって新たな課題を生みかねない。そこで登場したのが、スキル不要で使えるノーコード開発ソリューションだ。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...

news040.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。