中小企業を脅かすサイバー攻撃「PSW」とは? カスペルスキーが警鐘活発化する中堅・中小企業狙いのサイバー攻撃【前編】

Kaspersky Labによれば中堅・中小企業を標的にしたサイバー攻撃が勢いを増している。特に急増しているのは「PSW」というサイバー攻撃だという。その実態とは。

2022年06月14日 05時00分 公開
[Peyton DoyleTechTarget]

 中堅・中小企業を狙う、「PSW」(Password Stealing Ware)をはじめとしたサイバー攻撃が2021年から2022年にかけて急増している。セキュリティベンダーKaspersky Labが2022年5月に発表した調査結果で分かった。

中小企業を狙う「PSW」とは?

 PSW(パスワード窃盗型トロイの木馬)は、標的のマシン内にあるパスワードやIPアドレスといったデータを収集し、攻撃者に送信するトロイの木馬(潜伏型マルウェア)だ。Kaspersky Labは2022年1月〜4月を対象期間として、PSWの検出数や、リモートデスクトッププロトコル(RDP:Remote Desktop Protocol)へのサイバー攻撃件数を前年同期と比べて分析。中堅・中小企業のシステムに入り込んだPSWの検出が飛躍的に増えた他、他の種類のサイバー攻撃も増加した実態を明らかにした。

 中堅・中小企業に対するサイバー脅威の中で最も増加しているのは、PSWだとKaspersky Labは言う。同社によれば、中堅・中小企業を狙ったPSWの2022年1月〜4月の検出数は、400万3323件だった。前年同期の302万9903件から100万件弱(約32%)増えた。

 これらのサイバー脅威についてKaspersky Labは国別にも調査した。そのデータは非公開だが、米TechTargetは独自取材で入手した。それによると、PSW攻撃の増加が目立っている国は米国、カナダ、メキシコ、コロンビア、ブラジル、ロシア、ハンガリー、セルビアだ。その一部の数字は下記の通り。

  • メキシコ:12万3640件→32万3434件(約20万件増)
  • カナダ:8289件→2万8174件(約2万件増)
  • ロシア:約10万件増
  • 米国:約9万件増

 倍率を見ると、特に増加したのはハンガリー、セルビア、コロンビアの3カ国だった。

  • ハンガリー:約9.5倍(3232件→3万708件)
  • セルビア:約7倍(1万8336件→12万8213件)
  • コロンビア:約4倍(3万9627件→16万1589件)

 後編は、インターネットを悪用したサイバー犯罪とRDPへのサイバー攻撃の動向を紹介する。

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