Appleは開発者に対して、「macOS」をDaaSで利用する選択肢を設け始めている。ただし、この動きが一般ユーザーまで広がるかどうかは不透明だ。その背景とは。
Appleは、一般のエンドユーザーが仮想デスクトップのクラウドサービス「DaaS」(Desktop as a Service)のゲストOSとして、同社の「macOS」を利用することを認めていない。ただし開発者に対しては、ベンダーのサービスを通してmacOSを利用することを認め始めている。
2020年後半にAppleは、ベンダーが開発用途に絞ってmacOSのホスティングサービスを提供できるライセンス規約「Leasing for Permitted Developer Services」を導入した。依然として厳格な条件があるものの、Amazon Web Services(AWS)などのクラウドベンダーが合法的に、ソフトウェア開発のためにmacOSの仮想デスクトップを提供できるようになった。
MacStadiumやMobowareなど、macOSのホスティングサービスやDaaSを開発者向けに提供する中小規模のクラウドベンダーが存在する。Appleはこうしたサービスを利用する開発者とベンダーに対して、Appleのライセンス規約に合意することやサービスの契約期間を24時間以上にすることなどを、macOSの利用条件として設けている。対象となる用途には、ソースコードからのソフトウェア開発や自動テストに加えて、これらを実行するための開発ツールの利用などが含まれる。
macOSの仮想デスクトップの用途は、限定的だ。Apple製端末向けソフトウェアの開発者は、macOSの仮想デスクトップをソフトウェアの開発とテストに利用できる。これは開発中のソフトウェアを「Windows」端末と、macOS端末の両方で利用できるようにする場合に役立つ。macOSの仮想デスクトップを導入すれば、開発者はWindows端末でもmacOSを使って作業できるようになる。
Appleがライセンス規約そのものを大きく変更することはないと考えられる。同社は収益の大部分をハードウェアから得ているからだ。ハードウェアとソフトウェアの緊密な連携は、同社を長年にわたって支えてきたビジネスモデルであり、成功の鍵でもあった。同社は引き続き、OSの機能と物理端末を連携させることに力を入れている。PCの「Mac」やスマートフォン「iPhone」など、同社製端末の売れ行きは好調が続く。
第4回は、DaaSで利用可能なmacOS以外のOSを検討する。
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