デジタルチャネルの充実は、企業のマーケティング方針を大きく変え始めている。McDonald'sが進めたアーティストとのコラボレーションも、こうした変化を意識した取り組みだという。どういうことなのか。
「数十年前からドライブスルーでの持ち帰りに、非接触の販売インフラを構築してきた」。ファストフード大手McDonald's(マクドナルド)の最高マーケティング責任者タリック・ハッサン氏は、2022年1月開催の最新技術見本市「CES 2022」におけるEコマース関連の公開討論会で、こう説明した。同社は2020年ごろ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響によるスタッフ不足やサプライチェーンの混乱の中で、配達注文のスピードや正確性、利便性を維持することに注力していたという。
McDonald'sにとってマーケティング面で解決すべき問題は、現実世界におけるドライブスルーでの注文をデジタルの世界と関連付けることだった。そこで実施したのが、ソーシャルメディアで大きな影響力を持つ人(インフルエンサー)を通じて自社商品を広める「インフルエンサーマーケティング」だ。ラッパーのスウィーティーやトラヴィス・スコット、ラテンシンガーのJ.バルヴィン、ダンス&ボーカルグループBTSといった、ソーシャルメディアでの訴求力のある著名人とのコラボレーションメニューを生み出した。
2021年7月には「MyMcDonald's Rewards」というキャンペーンも開始した。顧客がMcDonald'sの商品を買うとポイントがたまり、同社商品を無料で購入できるようにするキャンペーンだ。このキャンペーンはこれまでに「何千万人もの顧客を引き付けた」と同社は説明する。「デジタルチャネル(チャネル:消費者への到達経路)を活用し、顧客が商品の何を気に入っているかを明らかにしつつ、さまざまな方法で顧客とつながるようにしている」とハッサン氏は語る。
McDonald'sのこうしたキャンペーンは「マーケターの思考の移り変わりを明らかにしている」と、調査会社IDCのアナリスト、ジョーダン・ジュエル氏は語る。これまで企業はホリデーシーズンやスポーツ大会といったイベントを中心に、広告やマーケティングの予算を準備していた。今ではより精緻なデータ分析により、個々の顧客にパーソナライズした商品提供を進めることができる。こうした新しいキャンペーンには、きっかけとなる特別なイベントは必要ない。
「企業は顧客に合わせた広告を出すようになっている」とジュエル氏は言う。特にアナログな手段を用いた広告は「これまでずっと投資対効果がかなり疑わしかった」と同氏は認める。「デジタルマーケティングでは、企業は投資に対する反応を目の当たりにすることができる」(同氏)
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