コストを抑えつつ自由にカスタマイズできるのが、オープンソースソフトウェアの利点だ。「AIOps」ツールもその例外ではない。OSSのAIOpsツールを俎上(そじょう)に乗せる。
AI(人工知能)技術を取り入れた開発・運用手法「AIOps」は、企業のアプリケーション開発に新たな可能性をもたらす。AIOpsツールには「オープンソースソフトウェア」と「プロプライエタリソフトウェア」(ソースコード非公開のソフトウェア)があり、それぞれ長所と短所がある。企業はどちらを使うべきなのか。本稿は両方を比較しながら、最適なツール選びのポイントを示す。
OSSとしての開発プロジェクトが進んでいるAIOpsツールは、豊富ではない。とはいえ幾つかのオープンソースツールはAIOpsと呼ぶのにふさわしい機能を備えている。例えばコンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」はデータ処理にデータ分析技術を取り入れているため、部分的にはAIOpsツールと見なすことができる。
AIOpsツールとしては位置付けられていないものの、AIOpsに活用できる基本的な分析機能が備わっているツールとして、ネットワーク監視ソフトウェアである「Nagios」と「Zabbix」がある。OSSの機械学習ライブラリ「PyTorch」や「TensorFlow」(開発元はGoogle)は、単体ではAIOpsツールにはならないが、AIOpsの機能を実装するのに役立つ。
OSSのAIOpsツールにはさまざまなメリットがある。一般的にOSSのAIOpsツールはコスト面に限らず、比較的自由にカスタマイズができるのが利点だ。プロプライエタリソフトウェアと違い、ベンダーロックインの恐れもない。
AIOpsツールを評価する際には、他にも考慮すべき点がある。OSSには“ワンストップ”のAIOpsツールが存在しないことだ。つまり企業がITの運用効率を上げるのに必要な、全てのAIOps機能を備えたOSSは存在しない。利用できるのは、AIOpsの部分的な機能を提供するOSSだ。
OSSを使用してAIOpsのメリットを享受するには、企業は複数のツールを併用する必要がある。その作業には相当な労力を要する。
AIOpsツールは大量のデータにアクセスする性質を持っている。そのデータには機密性の高いものや、攻撃者が悪用して情報漏えいにつながる恐れのあるものが含まれている。プロプライエタリソフトウェアを使用する場合は、ベンダーの信頼性が非常に重要だ。プロプライエタリソフトウェアを使用する際にデータをベンダーに預ける必要がある場合は、セキュリティはもちろん、コンプライアンスも考える必要がある。OSSのAIOpsツールでも外部のシステムでデータを処理する必要がある場合には、同じことを考慮しなければならない。
OSSのソースコードは公開されているのが基本だ。データをどのように処理しているのかを調べることができるため、データ管理に対する透明性と信頼度は高くなる。
後編は、プロプライエタリソフトウェアのAIOpsツールを取り上げる。
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