大規模な電力容量と広大なスペースを提供する「ハイパースケールデータセンター」に興味深い変化がある。加熱する需要が引き起こしたM&Aや投資の動向とは。
大規模な電力容量と広大なスペースを提供する「ハイパースケールデータセンター」の業界が活発だ。ハイパースケールデータセンター需要の加熱を受け、M&A(合併・買収)や投資はどう動いているのか。
ハイパースケールデータセンターを保有する事業者の代表格としてはAmazon Web Services(AWS)やMicrosoft、Google、Meta(旧Facebook)などがある。調査会社Synergy Research Group(以下、Synergy)のチーフアナリストであるジョン・ディンズデール氏によれば、ハイパースケールデータセンターの施設数と電力容量の増加ペースに減速の兆しはない。
「ハイパースケールデータセンターは目覚ましいペースで増え続けている」とディンズデール氏は語る。M&Aも活発だ。データセンター需要の高まりに伴い、ハイパースケールデータセンター分野におけるM&Aの件数増加や規模拡大が起きているという。
2021年11月にコロケーション大手2社、CyrusOneとCoreSite RealtyのM&Aの発表がそれぞれあった。その後CyrusOneは投資会社のKKRとGlobal Infrastructure Partnersに約150億ドルで、CoreSiteは不動産投資会社American Towerに約101億ドルで買収された。Synergyのデータによると、2021年はデータセンター分野のM&A数が2020年を上回っており、同社はM&Aの取引額も2020年を上回ったと試算した。
ハイパースケールデータセンター事業者が意欲的に事業拡大を続ける一方で、企業や一般消費者向けのクラウドサービス市場も成長を続けている。「データセンターの需要は今までにないスピードで高まるだろう」とディンズデール氏はコメントする。
一方で「データセンター分野における投資家の様相は変化している」とディンズデール氏は指摘する。2020年から2021年にかけて、同分野の買い手はデータセンター事業者からプライベートエクイティファンド(未上場の株式に投資するファンド)を扱う投資会社へとシフトしているという。
ディンズデール氏によると、データセンターに必要な投資額は大手のデータセンター事業者の手にも負えなくなってきているという。その結果、投資家からの資金流入が始まり、米国のデータセンター企業の所有権は転々としている。データセンター業界大手のEquinixとDigital Realty Trustは事業拡大のため、それぞれジョイントベンチャー(合弁企業)による資金調達に乗り出している。
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