大手もデータセンター需要に降参? M&Aや投資に起きた“ある変化”とは急成長する「ハイパースケールデータセンター」【後編】

大規模な電力容量と広大なスペースを提供する「ハイパースケールデータセンター」に興味深い変化がある。加熱する需要が引き起こしたM&Aや投資の動向とは。

2022年07月27日 05時00分 公開
[Caroline DonnellyTechTarget]

 大規模な電力容量と広大なスペースを提供する「ハイパースケールデータセンター」の業界が活発だ。ハイパースケールデータセンター需要の加熱を受け、M&A(合併・買収)や投資はどう動いているのか。

 ハイパースケールデータセンターを保有する事業者の代表格としてはAmazon Web Services(AWS)やMicrosoft、Google、Meta(旧Facebook)などがある。調査会社Synergy Research Group(以下、Synergy)のチーフアナリストであるジョン・ディンズデール氏によれば、ハイパースケールデータセンターの施設数と電力容量の増加ペースに減速の兆しはない。

加熱するデータセンター需要 M&Aや投資に起きた“ある変化”とは

 「ハイパースケールデータセンターは目覚ましいペースで増え続けている」とディンズデール氏は語る。M&Aも活発だ。データセンター需要の高まりに伴い、ハイパースケールデータセンター分野におけるM&Aの件数増加や規模拡大が起きているという。

 2021年11月にコロケーション大手2社、CyrusOneとCoreSite RealtyのM&Aの発表がそれぞれあった。その後CyrusOneは投資会社のKKRとGlobal Infrastructure Partnersに約150億ドルで、CoreSiteは不動産投資会社American Towerに約101億ドルで買収された。Synergyのデータによると、2021年はデータセンター分野のM&A数が2020年を上回っており、同社はM&Aの取引額も2020年を上回ったと試算した。

 ハイパースケールデータセンター事業者が意欲的に事業拡大を続ける一方で、企業や一般消費者向けのクラウドサービス市場も成長を続けている。「データセンターの需要は今までにないスピードで高まるだろう」とディンズデール氏はコメントする。

 一方で「データセンター分野における投資家の様相は変化している」とディンズデール氏は指摘する。2020年から2021年にかけて、同分野の買い手はデータセンター事業者からプライベートエクイティファンド(未上場の株式に投資するファンド)を扱う投資会社へとシフトしているという。

 ディンズデール氏によると、データセンターに必要な投資額は大手のデータセンター事業者の手にも負えなくなってきているという。その結果、投資家からの資金流入が始まり、米国のデータセンター企業の所有権は転々としている。データセンター業界大手のEquinixとDigital Realty Trustは事業拡大のため、それぞれジョイントベンチャー(合弁企業)による資金調達に乗り出している。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

譁ー逹€繝帙Ρ繧、繝医�繝シ繝代�

技術文書・技術解説 アイティメディア広告企画

最新インフラの導入/運用でAIプロジェクトを成功させるための勘所

企業がAIプロジェクトを進める際、その成功にはさまざまな要因が絡んでくる。インフラの導入/運用、予算や人材の配分、計画立案などだ。では、どうすればAIプロジェクトを破綻なく成功させることができるのか、その勘所とは。

技術文書・技術解説 アイティメディア広告企画

AI時代に高まるストレージの重要性――選ぶべきはSSDか? HDDか?

生成AIをはじめとしたAI技術の進化と活用拡大で、SSDやHDDといったストレージの重要性はますます高まっている。そんなAI時代のストレージには、SSD、HDDどちらを選べばよいのだろうか。

事例 株式会社AIT

スケーラブルで高速・確実なデータアクセスを実現、某研究所のHPSS導入事例

データ生成デバイスの進化・多様化により、保存すべきデータ容量は急増した。その管理においては、コストとパフォーマンスのバランスが課題となっている。解決策の1つとして注目される「HPSS」の効果について、導入事例を紹介したい。

事例 株式会社AIT

データ量の急増でインフラ強化が急務に、JA大阪電算の事例に学ぶシステム移行術

業務のデジタル化が進み、データ量やワークロードが増大していた大阪府農協電算センター。それによりインフラの負荷が高まり、性能を向上させることが喫緊の課題になっていた。本資料では同社がどのようにインフラを移行したのか解説する。

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

ハイブリッド環境の構造化データ管理、レガシーストレージからどう脱却する?

AIでは構造化データの活用が進む一方、クラウド普及に伴いデータの分散化が加速している。この状況下で課題となるのが、レガシーストレージの存在だ。本資料では、構造化データに適したストレージ戦略を紹介する。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...