人工妊娠中絶を憲法上の権利として認めた米国の「ロー対ウェイド判決」が覆った。これに伴い、米国企業にはどのような影響があるのか。専門家の話を基に考察する。
米国では、従業員の人工妊娠中絶手術のための旅費を補助する企業と、人工妊娠中絶の禁止に動く州との間で、法廷争いが始まろうとしている。米国連邦最高裁判所は2022年6月、人工妊娠中絶を憲法上の権利として認めた「ロー対ウェイド判決」を覆す判断を下した。これによって州ごとに、州の判断によって人工妊娠中絶手術の実施可否が決まることになった。
テキサス州下院の共和党議員、ブリスコー・ケイン氏と13人の同州議会議員は2022年5月、立法議会で人工妊娠中絶禁止の法案を提出するという声明を出した。この法案の目的は、人工妊娠中絶手術の費用に会社の資源を使用したり、人工妊娠中絶手術関連の費用を負担したりした企業の経営幹部に、「重罪(死刑または1年以上の懲役を課される犯罪)事件」による刑事訴追のリスクを負わせることにある。
人工妊娠中絶の権利を認めない判断を下した連邦最高裁判事、ブレット・カバノー氏の意見には、人工妊娠中絶手術のための州間移動を禁止したい州の議会にとって、壁になり得る内容がある。カバノー氏は「憲法が認める権利に基づけば、人工妊娠中絶手術を受けるために他の州へ移動することを州が禁ずることはできない」と述べている。
法律事務所Equal Rights Advocatesの代表を務め、人権問題に詳しい弁護士のノリーン・ファレル氏は、「議会が経営幹部を訴追可能であるというテキサス州法上の根拠はない」と話す。それでも「州内の行動について何を犯罪と見なすかは、各州が決めることができる」とファレル氏は強調する。このことは、一部の州が人工妊娠中絶禁止を推進する際の重要なポイントとなる可能性がある。
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