「AIOps」は自動化ではない? 違いが分かる“3つのポイント”IT運用が向かう先は?【中編】

「AIOps」は既存のシステム運用を一歩前進させるという点で自動化と混同しがちだが、具体的な活用例を知ると違いが分かる。AIOpsを理解するための3つのポイントとは。

2022年08月18日 05時00分 公開
[Clive LongbottomTechTarget]

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 「AIOps」(AI for IT Operations)とは、既存のシステム運用の延長線にある手法だ。AI(人工知能)技術を使い、既存のシステム運用をAIOpsツールに学習させることが前提となる。システム運用の自動化とも似ているが、異なる点もある。AIOpsの利点や応用を理解するための3つのポイントを紹介する。

「AIOps」と自動化の違いを理解する3つのポイント

継続的な学習

 継続的な学習がAIOpsには欠かせない。AIOpsが最初に使用するベースライン(基準値)は完全ではないので、できるだけ多くのデータをAIOpsツールに与えて学習させる必要がある。

 特定のシステムに新規ユーザーを登録すると、それがリソースやライセンスの要件に影響を与える可能性がある。IT担当者は、必要に応じて新しいベースラインを継続的に作成しなければならない。それを受けて、AIOpsツールは「なぜ新しいベースラインが作られたのか」「その変化がシステム稼働にどう影響するのか」を推測して、IT担当者に報告する。

予測分析

 AIOpsツールはベースラインを基に問題になり得る要因を検知する。IT担当者はその情報を基にサーバやストレージの問題が起きる可能性のある時期を把握し、機器の故障が発生する前に交換できるようになる。反対に、分析の結果として「機器故障の可能性が低い」と判断できる場合は、交換を延期して機器を延命することもできる。

 ユーザー企業だけではなくベンダーもAIOpsを使うことで、チップ(半導体集積回路)からサーバ、ストレージシステム、ネットワークに至るまで、デバイスやインフラの稼働状況を迅速に分析できるようになる。

アプリケーションの再配置

 システム運用を自動化するさまざまなツールが登場している。例えばあるインフラから別のインフラへのアプリケーション移行を自動化するツールがある。ただしそうしたツールによるアプリケーション移行の場合は、手動の作業が発生し、コストの最適化が簡単にはできないこともある。

 AIOpsツールを使うと、ユーザー数などの変数に基づいてアプリケーションから仮想化ソフトウェア、OS、クラウドサービスに至るまでのライセンスを自動的に管理し、コストを最適化することが可能になる。

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