メモリリークで考える「AIOps」の実力 手作業との違いは?IT運用が向かう先は?【前編】

「AIOps」はいったん市場に浸透し始めれば、その後は急速に普及する可能性がある。その理由は、AIOpsは既存のシステム運用と大きくは違わないことと、既存の課題を解消できる可能性があることだ。

2022年07月28日 05時00分 公開
[Clive LongbottomTechTarget]

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 IT担当者がリアルタイムで分析し切れないほどのデータを企業は生成している。データアグリゲーター(データを収集、販売する事業者)でさえ、大量のデータ処理に苦労している。求められているのは、手作業ではなく機械的にデータを賢く分類することだ。

 大量のデータが発生するとき、「AIOps」(AI for IT Operations)が役立つ可能性がある。AIOpsはシステム運用にAI(人工知能)技術を取り入れる。その目的はシステム運用のプロセスを高速化しつつ簡素化するとともに、問題解決を自動化することにある。

 2022年現在、AIOpsは手法としてまだ新しい。だが“全く新しい”手法ではない。既存のシステム運用から一歩前進したものだと考えるとよい。

メモリリーク解消も可能 「AIOps」の実力は?

 AIOpsはデータを収集し、フィルタリングして分析し、問題の根本原因を特定する。その後、自動的に問題を修復したり、解消すべき問題と対象のリソースを提示したりする。AIOpsの対象になるのは、ハードウェア、仮想化ソフトウェア、仮想マシン(VM)、コンテナ、アプリケーションなど幅広い。

 IT担当者はAIOpsによって、問題が発生する前に、問題になり得る要因を把握できる。あらかじめ決めておいた基準値と現状のシステム稼働状況とを比較することで、問題につながる要因を突き止めることが可能になる。

 例えばメモリリーク(使い終わったメモリのリソースをアプリケーションが解放しない状態)の解消にAIOpsツールを活用できる。メモリリークは、徐々に応答時間などのパフォーマンス低下を招く。余分なリソースを消費するので、コスト増につながる懸念もある。AIOpsツールはメモリの使用量が増加している箇所と、その使用量が正常な値まで低下するかどうかを自動的に特定する。最終的にはメモリの不要なリソースを解放することで、パフォーマンスは回復する。

 AIOpsツールが問題を解消できない場合は、開発者が根本原因に対処できるよう、自動的に依頼を発出することもできる。AIOpsツールが問題を解消するところまで実施するのか、問題が発生していることを検知するところまでで終わるのかは、AIOpsの対象範囲によって異なる。AIOpsの技術が向上すれば、問題をツールが自力で特定して開発者に要件変更を促したり、DevOps(運用チームと開発チームの協調体制)の業務フローと連動して情報を発出したりすることが可能になる。

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