アクセンチュアが目指す「AIOps」の挑戦的な試みとは?静かに現実味を帯びる「AIOps」【後編】

IT運用のさまざまな領域にAI技術が入り込んでいる。AIOpsを実践中のアクセンチュアは、自動化の適用範囲をさらに広げることにまい進する。同社が次に狙う成果とは。

2022年04月06日 05時00分 公開
[Beth PariseauTechTarget]

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 ITコンサルティング会社のAccenture(アクセンチュア)は、機械学習アルゴリズムを使ってIT運用を自動化する「AIOps」(AI for IT Operations)を取り入れている。中編「アクセンチュアが実践する『AIOps』による定型業務の自動化とは?」の通り、同社はServiceNowのソフトウェアを活用中だ。

 AIOpsには信頼できるデータの整備が欠かせない。「データを標準化して基幹業務全体で共有できるようになれば、より多くのインシデントを自動的に修復できるようになる」と、AccentureでIT運用管理部門の責任者を務めるブライアン・ロック氏は語る。

アクセンチュアが目標とするAIOpsの実践

 Accentureは、例えば開発チームと運用チームの業務を連携させる「DevOps」においても、定型的な業務は自動化したいと考えている。「開発の成果物を手動や半手動で実行するのではなく、自動で実行することも視野にある。これは段階的に進んでいる取り組みだ」とロック氏は言う。こうして同社は、AIOpsの適用範囲を広げるための非常に長い道のりの途中にある。

 段階的にAIOpsが進むのは、Accentureに限らない。調査会社Gartnerが2021年4月に発行したレポート「Market Guide for AIOps Platforms」は、企業がAIOpsを成功させるには時間と労力が必要だと指摘している。つまり「段階的」という言葉は、企業がAIOpsを実践する上では一般的なものだと言える。

AIOpsとDevOpsの関係が深まる

 AIOpsの分野で顕著なのは、DevOpsとの関係が強まってきたことだ。例えばDevOps向けのツールを提供するAtlassianは、ITサービス管理(ITSM)ツール「Jira Service Management」の人工知能(AI)機能を強化している。各種の予測機能やインシデントのトリアージ(優先順位付け)、運用自動化、検索結果のパーソナライズなどを追加した。同社は2022年1月、自然言語処理のAI技術を持つPercept.AIを買収し、インシデントの一次対応に関わるサービスデスクの自動化分野の強化も図った。

 こうしてインシデント対処の領域にAIOpsが入り込んでくる動きは、IT分野全体においてAIOpsの重要度が高まってきたことを示していると、調査会社Forrester Researchのアナリスト、ウィル・マキーオン・ホワイト氏は指摘する。ホワイト氏がそう指摘するのは、AIOpsが単純なシグナル駆動型の自動化だけではなく、従来は人間が実施していた判断に関わる分野にも使われるようになってきたためだ。

 一方で調査会社Gartnerでアナリストを務めるアルン・チャンドラセカラン氏は、AIOpsによる自動化はベンダー主導の市場になり始めていると指摘する。AtlassianがPercept.AIを買収したことは、それを反映しているという。企業は独自の手法でAIOpsを成功させることに苦労しているため、特定の用途向けにベンダーが開発した機能に頼る可能性があるとチャンドラセカラン氏はみている。「AIOpsで成功を収められるかどうかは、適切なデータがあることと同程度に、適切な用途があることにも左右される」と同氏は言う。

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