スウェーデンにおいて、AI人材を育成する制度はまだ整備されていない。だがスウェーデンのAI専門機関は、その状況を変える画期的な取り組みに着手した。
AI(人工知能)技術を取り巻く分野は、急速に変化している。スウェーデンのAI専門機関AI Swedenは、AI人材の育成やキャリア支援に取り組んでいる。同機関で広報責任者を務めるミカエル・リュングブロム氏は、「スウェーデンではAIスキルの供給が追い付いていない」と語る。AI人材不足を解消するため、同機関はある取り組みに着手した。
スウェーデンの教育機関、特に大学では、AI市場で必要とされるスキルを学生に教える制度はまだ整備されていないという。この問題の大きな原因は、AI人材を育成するプログラムを構築したり、教授を雇用したりするためには長い時間を要することだ。
AI Swedenで人材プログラムの責任者を務めるニクラス・フォック氏は、スウェーデンの教育機関はAI技術の重要性を十分に認識していないとみる。AI技術は単なる1つの科目ではなく、歴史や言語、科学など、さまざまな分野に応用できることを、教師が理解するよう支援する必要があるという。
教育機関におけるAI人材の育成を促すため、AI Swedenは既に幾つかのプロジェクトを始めている。その一つに、高校向けのプロジェクトがある。
ABB-gymnasietはスウェーデンの都市ヴェステロースにある高校だ。同校はAI Sweden の支援を受け、AI技術に関心を持つ学生に専門プログラムの提供を開始した。スウェーデンではこうした教育機関はあまり一般的ではないという。その理由は、同国の文化は「全ての子どもに平等な教育機会を与えること」を重視するためだ。こうした文化においては、高いスキルを持つ人材が特別な機会を得ることは難しい。同校は国の認可を受けてこのような機会を実現した。
フォック氏によると、プログラミング言語やハードウェアは絶えず変化しているため、注意して動向を追う必要があるという。「推奨されている技術だけに注目してはいけない。将来利用される見込みの技術を視野に入れ、理解することの方がはるかに重要だ」(同氏)
AIスキルに加え、他分野でのスキルを備える人材は雇用市場で力を持つとリュングブロム氏は見込む。業務ではAI技術の知識を持つだけでなく、ビジネスを理解し、所属する分野に関係なく組織内のさまざまなチームと連携することが求められる。「AIスキルと結び付けられる分野が多いほど高く評価されるだろう」(同氏)
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