“AI失敗企業”が2割 数はこなすも結果が出ない調査で分かった「AI」の残念な事情【前編】

Deloitte AI Instituteの調査により、企業の間ではAI技術の活用が広がっているものの、実際の成果が芳しくないことが明らかになった。何が起きているのか。調査結果から探る。

2022年11月21日 08時15分 公開
[Cliff SaranTechTarget]

関連キーワード

データ分析 | 機械学習


 国際会計事務所/コンサルティング会社Deloitte Touche TohmatsuのAI(人工知能)研究部門であるDeloitte AI Instituteは、世界規模のAI活用動向調査を実施している。その調査結果からは、多くのビジネスリーダーが、AI技術の活用によって明確な価値を生み出すのに苦労していることが分かった。

「AI失敗企業」が2割の“謎”

 Deloitte AI Instituteは2022年10月、AI技術活用動向の調査レポート「State of AI in the Enterprise」第5版を公開した。同組織は2022年4月から5月、世界各国のビジネスリーダー2620人に対し、勤務先がどのようにAI技術を導入・活用しているかを尋ねた。

 State of AI in the Enterpriseは、AI技術がこれまで以上に企業の基幹業務を支えるようになっていることを示している。調査では回答者の94%が、「AI技術は今後5年間の成功に不可欠」と回答。79%は「勤務先は3種類以上のAIアプリケーションを本格的に導入した」と答えた。

 AI技術の導入は、具体的な成果につながっているのか。それを明らかにすべく、Deloitte AI Instituteは回答者に、AI技術に関する取り組みの成果のうち、自社の「達成度が高い」ものを挙げてもらった。同組織が成果の選択肢として用意した項目は「コストの削減」「貴重な洞察の発見」「業務間/部門間のコラボレーションの向上」など19項目だ。

 Deloitte AI Instituteの調査では、勤務先で本格的に導入しているAIアプリケーションの数が5種類以上に及ぶにもかかわらず、達成度が高い成果の数が4つ以下にとどまる回答者が、570人に達した。これは全体の22%を占める。State of AI in the Enterpriseは、こうした企業を「失敗企業」(Underachievers)に分類している。

 State of AI in the Enterpriseの執筆担当者は、AI技術の活用を始める企業に、ビジネス価値に焦点を当てることを推奨する。Deloitte AI Instituteの調査では、AI技術に関する取り組みの課題として「AI技術のビジネス価値の証明」を最大の課題に挙げた回答者が37%と、最も多かった。


 後編は、継続的なAI技術の活用に向けて、ビジネスリーダーが取り組むべきことを探る。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

譁ー逹€繝帙Ρ繧、繝医�繝シ繝代�

製品資料 グーグル・クラウド・ジャパン合同会社

約80%の企業でAIが定着していない? その理由と成功させるためのポイントとは

生成AIを活用して業務や顧客体験の再構築を進める動きが活性化しているが、その多くが、PoCやラボ環境の段階にとどまっている。なぜなら、生成AIの可能性を最大限に引き出すための、インフラのパフォーマンスが不十分だからだ。

市場調査・トレンド グーグル・クラウド・ジャパン合同会社

ソフトウェア開発ライフサイクルにおける、生成AI活用のポイントを考察する

昨今のソフトウェア開発では、AIコーディングアシスタントの活用が主流になっている。しかし、最適なコーディングアシストツールは、開発者や企業によって異なるという。導入の際は、どのようなポイントに注意すればよいのか。

製品資料 グーグル・クラウド・ジャパン合同会社

データベースをモダナイズし、生成AIを最大限に活用する方法とは?

生成AIの活用にはデータベースが重要となるが、従来のデータベースは最新テクノロジーに対応できないなどの課題がある。本資料では、データベースをモダナイズし、生成AIを用いてビジネスイノベーションを生み出すための方法を探る。

製品資料 グーグル・クラウド・ジャパン合同会社

検索体験と結果の質をどう高める? ユーザーに喜ばれる検索体験を実現する方法

ビジネスにおいて、検索体験およびその結果の質の向上が重要なテーマとなっている。顧客はもちろん、自社の従業員に対しても、実用的な答えをより迅速に、手間なく入手できる環境の整備が求められている。

事例 グーグル・クラウド・ジャパン合同会社

検索の効率化からデータ活用まで、生成AIの業務組み込み事例5選

登場以来ビジネスへの活用方法が模索されてきた生成AI。近年では業務組み込みにおける具体的な成功例が数多く報告されている。本資料では、5件の生成AI活用事例を交えて、業務に組み込む上での具体的なアプローチを解説する。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。