データセンター設計の認定機関が実施した調査によると、データセンターの電力使用効率やレジリエンスは一見すると向上している。しかし、注意深く見る必要がある。
データセンター設計の認定機関Uptime Instituteはデータセンターに関する年次レポート「The Uptime Institute Global Data Center Survey 2022」を2022年9月に公表した。レポートによると、データセンターの電力使用効率を表す指標PUE(Power Usage Effectiveness)やレジリエンス(障害発生時の回復力)は、一見すると向上してきた。しかしUptime Instituteは、結果を注意深く見るべきだと指摘する。
調査はUptime Instituteが2022年前半に実施し、世界中のデータセンターのオーナーや事業者約800人と、データセンターのサプライヤーや設計者、アドバイザー約700人を調査対象にした。
レポートによると、年平均のPUEは2007年から2018年にかけて2.5から1.58へと改善した。こうしてPUEは改善を続けてきた一方、「PUEは今後上昇する可能性がある」とUptime Instituteは予測する。
Uptime Instituteはその理由として、熱を発しやすいサーバ用プロセッサが広く使われ出し、その熱を冷却する必要が生じていることを挙げる。より高温でも稼働するプロセッサを使用したり、空冷式の冷却設備よりも冷却効率の良い水冷式の冷却設備を使用したりしない限り、PUEの平均が今後上がる可能性がある。
データセンターに水冷式の冷却設備を導入する動きは、今後広がるとUptime Instituteは見込む。データセンターの建設や既存データセンターの改良時に水冷式の冷却設備を取り入れることで、PUEは改善する可能性がある。
レポートは、データセンターのレジリエンス強化に向けた投資についても触れている。回答者の40%が、「過去3〜5年の間に、自社主要拠点に導入するインフラのレジリエンスを高めるための投資を始めた」と答えた。この投資の効果は現れている。回答企業1拠点当たりの機能停止率は低下する傾向にある。過去3年間に機能停止を経験したと答えた事業者は60%で、2021年の69%、2020年の78%から下がっている。
一方で、「このデータを真に受け過ぎてはいけない」とレポートは注意を促す。改善が見られるとはいえ、機能停止発生の割合は依然として低くはないからだ。
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