GoogleはWebブラウザ「Chromium」で取り扱える画像フォーマットから「JPEG XL」を除外することを決定した。同社の意図とは何なのか。JPEG XLの開発に携わる当事者が、その背景を明かす。
2022年11月、Googleは世界中の開発者を困惑させた。同社が開発を主導するオープンソースWebブラウザ「Chromium」について、取り扱い対象の画像フォーマットから「JPEG XL」を外したからだ。Chromiumは「Google Chrome」「Microsoft Edge」「Opera」「Vivaldi」「Brave」などのWebブラウザのベースとなっている。
今回の決断の背景には、何があるのか。開発者への影響は。JPEG XLの開発に携わる画像・動画管理ツールベンダーCloudinaryで、シニアイメージリサーチャーを務めるジョン・スナイアーズ氏による寄稿を基に考える。
Webアプリケーションやモバイルデバイス用の画像を扱う開発者は、JPEG XLを好意的に評価している。JPEG XLは、画像を圧縮する際に、元データの欠落を許容しつつ圧縮率を高める「非可逆圧縮」と、完全に元通りに復旧できるようにする「可逆圧縮」の両方を実現する画像フォーマットだ。画像フォーマット「JPEG」と比べて、同じ容量でより高解像度の画像を保存できるようにする。JPEG XLはJPEGと同様、写真の質感や細かいディテールを表現するのに適している。
Googleは、今回の決定に至った理由として以下を挙げる。
JPEG XLの主要コントリビューターである私は、Googleの決定を尊重している。一方で勤務先であるCloudinaryのブログエントリ(投稿)で、上記の指摘に反論した。
私が強調したいのは、Chromiumチームは「開発者はJPEG XLにあまり興味がない」という自らの見方を、まさに自ら体現しようとしている点だ。今回の決定により、JPEG XLに興味を持つ開発者は急速にJPEG XLへの興味を失い、JPEG XLの可能性を致命的に損なってしまう恐れがある。
中編は、JPEG XLに関心がある開発者への推奨事項を紹介する。
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