Qualcommが“5Gだけ”ではなく「衛星通信」にも乗り出す理由次世代スマホが搭載する通信技術【後編】

スマートフォン向けの半導体製品を提供するQualcommが、衛星通信機能「Snapdragon Satellite」を発表した。スマートフォンをはじめとした端末で何ができるようになるのか。

2023年03月02日 05時00分 公開
[Joe O’HalloranTechTarget]

 半導体ベンダーのQualcomm Technologiesは2023年1月、スマートフォン向けの衛星通信機能「Snapdragon Satellite」を発表した。まずはモバイルOS「Android」搭載端末でのSnapdragon Satelliteの利用が見込まれているが、同社によれば活用の可能性があるのはそれだけではない。

5Gだけではなく、なぜ「衛星通信」も?

 Qualcommによれば、Snapdragon Satelliteは衛星通信による双方向メッセージングを実現する機能だ。スマートフォンでの利用以外にも、ノートPCやタブレット、自動車、IoT(モノのインターネット)機器などでも利用できる可能性があるという。

 「通信事業者やアプリケーションベンダーはSnapdragon Satelliteを活用することで、衛星通信を利用する独自サービスを用意し、他社との差別化を図れるようになる」。Qualcomm Technologiesはそう説明する。

 将来的には、「5G」(第5世代移動通信システム)が使える場所を地球全域へ広げる「5G NTN」がSnapdragon Satelliteで実現する可能性もある。非地上系ネットワーク(NTN:Non-Terrestrial Networks)用の通信衛星、コンステレーション(複数機の通信衛星を協調させて機能させるシステム)などがそのためのインフラになる。

 GPS(全地球測位システム)機能搭載の製品を提供するGarminは、Snapdragon Satelliteを使って緊急SOSサービスを提供する。Garminでアウトドア部門のバイスプレジデントを務めるブラド・トレンクル氏は、「世界中のスマートフォンユーザーに、当社の緊急SOSサービスを利用してもらう良い機会だ」と話す。

 Garminの緊急時問い合わせセンター「Garmin Response」は、さまざまなSOSに対処しており、救命の豊富な実績を持つ。「Qualcommと連携し、スマートフォンユーザーがどのような場所にいても、緊急SOSサービスを利用できるように支援する」(トレンクル氏)

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news061.png

高齢男性はレジ待ちが苦手、女性は待たないためにアプリを活用――アイリッジ調査
実店舗を持つ企業が「アプリでどのようなユーザー体験を提供すべきか」を考えるヒントが...

news193.jpg

IASがブランドセーフティーの計測を拡張 誤報に関するレポートを追加
IASは、ブランドセーフティーと適合性の計測ソリューションを拡張し、誤報とともに広告が...

news047.png

【Googleが公式見解を発表】中古ドメインを絶対に使ってはいけない理由とは?
Googleが中古ドメインの不正利用を禁止を公式に発表しました。その理由や今後の対応につ...