調査会社Gartnerによると、企業はIT人材の確保に苦戦している。その背景には何があり、企業はIT人材の確保に当たって今後どう動く可能性があるのか。
調査会社Gartnerによると、スキルのある有能なIT人材の争奪戦が企業間で激化している。優秀なIT人材がいないまま業務の拡大に取り組んでも、企業の成長は限定されてしまう可能性がある。IT人材市場はこれからどうなるのか。
Gartnerのディスティングイッシュトバイスプレジデント兼アナリストのジョン=デイビット・ラブロック氏によると、IT人材の獲得に特に苦戦しているのは、IT業界以外のユーザー企業だ。
ユーザー企業のCIO(最高情報責任者)は優秀なIT人材を欲しがるものの、獲得するIT人材に提示する給与条件は総じてCIOの権限だけでは決めることができない。給与条件は自社の経営状況に左右される傾向にあるためだ。「CIOはスキルのある有能なIT人材を獲得するために魅力的な給与条件を提示したいはずだが、給与条件を引き上げることができず、IT人材を獲得しにくい苦しい立場に置かれている」とラブロック氏は指摘する。
優秀なIT人材は、ユーザー企業からシステムの構築や運用を請け負うシステムインテグレーターに流れているという。ラブロック氏はその理由について、IT人材にとってはシステムインテグレーターで複数のユーザー企業の案件に従事する方が、給与額やスキル、キャリアの向上を見込めるからだとみる。
こうした背景から、Gartnerはシステムの開発や運用、保守、コンサルティングといったサービスを提供するITサービス市場が成長すると見込んでいる。ユーザー企業は今後、新しいシステムの導入や運用に当たり、社外のIT人材を活用する傾向が強まる可能性があるという。「ユーザー企業は今後、システムの開発や運用の内製化に取り組むよりも、社外のIT人材を活用する取り組みに注力することになる」(ラブロック氏)
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