SAPの「S/4HANA」移行はまだ早い? 企業の9割が懸念する“あの問題”「S/4HANA」移行の課題【前編】

SAP ECCのサポート終了が迫る中、その次世代版「S/4HANA」移行を検討する企業は、幾つかの問題に頭を抱えている。その解決策とは。

2023年03月01日 05時00分 公開
[Brian McKennaTechTarget]

関連キーワード

クラウドERP | ERP | SAP | SAP ERP | SAP HANA


 SAPは、同社のERP(統合業務)システム「SAP ERP Central Component」(以下、ECC)の保守サポートを2027年に終了する計画を発表している。これに伴い、ユーザー企業はECCの次世代版「SAP S/4HANA」(以下、S/4HANA)への移行を検討している。

 英国とアイルランドにおけるSAPユーザー企業団体UKISUG(UK and Ireland SAP User Group)は、同地域のユーザー企業114社に対して2022年に年次調査を実施。その結果を英国バーミンガムで開催されたカンファレンス「UKISUG Connect 2022」で公表した。

「S/4HANA」移行企業が懸念する問題とは

 年次調査では、「S/4HANAを利用している、もしくは利用を計画している」と回答した企業は89%に上り、2021年の74%から増加した。移行の理由として最も多く挙げられたのは「2027年にECC 6.0の保守サポートが終了するため」で、全体の70%を占めた。これは、「新機能を利用したいため」(49%)や、「大規模なデジタルトランスフォーメーション(DX)の一環として」(47%)といった前向きな理由を上回った。

 「ビジネスプロセスを簡素化するためや、ビジネスの生産性を向上するためといった前向きな理由は、ほとんど上位に位置しない」。UKISUGの会長を務めるポール・クーパー氏は、ユーザー企業がS/4HANAへの移行を決定した要因についてそう話す。

 年次調査では、S/4HANAへの移行をまだ完了していない企業のうち、92%の企業が「スキル不足」によって移行が遅れることを憂慮している状況が明らかになった。この数値は、2021年度調査の71%から増加した。他には、「既存のカスタマイズが移行の障壁になっている」と回答した企業が72%だった。

 およそ4分の1の回答企業が既にS/4HANAを使用しており、そのうち32%がSAPのパートナー企業が導入過程で提供したトレーニングについて「悪い」または「非常に悪い」と評価した。回答企業全体のうち、36%が「SAPはS/4HANAの管理に役立つ十分な技術やトレーニングを顧客に提供していない」と回答した。

 ほとんどのユーザー企業は、S/4HANAへの移行そのものではなく、移行を実施するタイミングについて悩んでいる。「S/4HANAへの移行に必要なスキルの不足について懸念が強まり、プロジェクトの速度や質が低下するリスクがある。スキル不足という問題を解消するための取り組みが必要だ」とクーパー氏は警告する。


 後編は、企業のS/4HANA移行を支援するSAPのサービス「Rise with SAP」について紹介する。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news131.jpg

「ダークパターン」の認知は2割にとどまる――クロス・マーケティング調査
調査会社のクロス・マーケティングが実施したダークパターンに関する調査(2024年)の結...

news050.jpg

ウェルビーイング調査 今後最も力を入れたい分野は「身体」、優先度が低いのは?
ASAKO サステナラボは、独自の「60のウェルビーイング指標」により生活者の充足度を数値...

news068.png

10代の7割超がショート動画を「ほぼ毎日見ている」――LINEリサーチ調査
LINEリサーチは全国の男女を対象に、ショート動画に関する調査を実施しました。