英国の学習者の間で、IT分野に関する「コンピューティング」の学位取得を目指す動きが広がっている。背景には、よく耳にする"あの存在”がある。
英国コンピュータ協会(BCS:British Computer Society)によると、ITを扱うコンピュータサイエンスなどの「コンピューティング」の専攻が、大学進学を考える学習者の間で人気を集めている。背景には“あるトレンド”があるという。それは何なのか。
英国の大学出願者(18歳)のうち、コンピューティング専攻の志願者は、2023年には2022年比で9.6%増の9万2980人に上った。これは他のどの専攻よりも多かったという。教育サービス法人Universities and Colleges Admissions Serviceが運営する、英国の入学出願支援サービス「UCAS」への出願データ(2023年1月締め切り分)から判明した。
専攻の選択に影響した可能性のある要素として、BCSが挙げるのは、
などだ。コンピューティングや法律といった「キャリアの見通しが良い専攻が、学習者の関心を集めている」と、UCASのチーフエグゼクティブであるクレア・マーチャント氏は説明する。
BCSの教育・公益担当マネージングディレクターであるジュリア・アダムソン氏は、機械学習などのAI技術が「子どもが宿題をこなす方法や、就職希望者がカバーレター(履歴書の送付状)を書く方法を変革している」と指摘。ITの未来に期待が集まるのは「不思議ではない」と話す。
「女性を中心に、若者はコンピューティングの学位を『世界を変えるためのパスポート』だと考えている」とアダムソン氏は説明する。「働く人が多様であるほど、IT業界はより公平性とインクルージョン(包摂性:誰も排除しないこと)を高めやすくなる」(同氏)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)も、学習者の専攻選びに影響したと考えられる。ロックダウン(都市封鎖)中は、仕事や買い物にITを使わざるを得なくなった。こうした生活環境の変化によって、学習者はIT職を選択肢として意識するようになった。
次回は、コンピューティング専攻が人気を集める中でも根強く残る、IT人材の問題を紹介する。
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