「SI接頭語」が新たに定められ、ヨタバイト(YB)よりさらに大きいデータ量を簡単に言い表せるようになった。だがこうした単位は、企業が直面するデータ保管の課題を解決するわけではない。業界関係者の見方は。
「SI接頭語」(SI:国際単位系)の最大は、これまでヨタ(Y)だった。2022年秋に開催された、単位体系を決める会議「国際度量衡総会」(CGPM)で新たなSI接頭語が決定したことで、状況は変わった。SI接頭語とは、10の累乗(同じ数字を繰り返し掛け算すること)の大きさを表す接頭語のことだ。
世界のデータ量が増大する中で、ゼタバイト(ZB)の単位を目にするようになった。その先にはヨタバイト(YB)、さらには新たに決定したSI接頭語を使用する将来が控えている。データ量の増大はどのような状況なのか。業界関係者の見方とは。
国際度量衡総会で新たに決定したSI接頭語は、以下2つだ。
ITコンサルティング会社Dragon Slayer Consultingのプレジデント、マーク・ステイマー氏によれば、ロナバイト(RB)やクエタバイト(QB)の前に、YBが必要になる場面はまだほとんどない。そもそも現存するストレージの容量で、YBを格納することは現実的ではない。ステイマー氏は、「もしある年に発生する全てのデータを取得して格納することができたとしたら、1RBの数値を見る瞬間が来る可能性はある」と話す。
「世界のデータセンターにどれだけのデータ量があるのかという問いに答えるために、RBやQBといった単位が必要になることは否定できない」。調査会社Objective Analysisの半導体アナリストであるジム・ハンディ氏は、こう語る。
今後データ量が増え続けた場合、例えば「2000YB」と言うよりも「2RB」(SIで2000YBに相当)と言う方が簡単だ。だが、その単位によって規模感を正しく把握できるかどうかは別問題で、「もっと良い言い表し方があるはずだ」とハンディ氏は語る。
SI接頭語ではなく「10の累乗」そのものを使って表現する方法も考えられる。だがハンディ氏は「10の累乗にすれば正確な数値を示すことができるものの、いずれにしても混乱する人は出てくる」と話す。
米TechTargetのアナリストであるスコット・シンクレア氏は、単位の表し方とは別の視点で、次のように指摘する。「企業は保有するデータ量が増大することに応じて、より高密度かつエネルギー効率良くデータを保管する方法を見つけなければならない」。SI接頭語が増えたとしても、そのことに変わりはないということだ。
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