IT業界には、人種や性別の偏りが依然として存在する。こうした偏りは、なぜ生じているのか。IT業界における求人の実態を明らかにした調査結果から見えた、根本的な原因とは。
IT業界が採用する人材には、人種や性別の偏りが少なからずある。IT業界の転職支援サービスを手掛けるVettery(Hiredの名称で事業展開)は、自社サービスの求人や求職者のデータを基に調査を進める中で、IT業界の採用活動における偏りが、人材の偏りにつながっている可能性を明らかにした。その実態とは。
Hiredは、2018年1月から2022年12月における自社サービスの利用データを基に、調査レポートをまとめた。この調査は、5500社以上の企業と11万7000人以上の求職者による、約6万4000件の求人に関する計86万回以上の面接を対象にした。
調査レポートによると2022年は、求人の38%において、企業は男性にのみ面接の案内状を送った。2018年の45%からは改善したものの、依然として4割近くを占める。
他の人種よりも白人の方が、IT業界では面接を受けることができる可能性が高い。調査レポートでは、2022年には求人の12%で、企業が白人の求職者にしか面接を求めなかった。2018年の26%からは改善されているものの、人種による差異は解消には至っていない。
IT業界で働く人に人種や性別の偏りがあるのは、採用活動における偏りがもたらした結果であり、IT業界が自ら招いたことだ――。Hiredの調査結果からは、こうした事実がうかがえる。特にIT業界に女性とアフリカ系米国人の不足は、以前から指摘されているものの、なかなか解消しない問題だ。
HiredのCEO、ジョシュ・ブレンナー氏は「『あらゆる人種を従業員に加えよう』という意識が、企業の間で高まっている」と述べる。同社の分析結果からは、2018年から2022年にかけて採用活動における偏りの解消傾向が見られ、人材の偏りをなくそうとする企業の動向が読み取れる。一方で「労働力における女性と非白人の構成比の問題は、依然として存在する」とブレンナー氏は話す。
次回は、さまざまな調査結果から見えてきたIT業界の偏見を紹介する。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TikTok売却義務化に合憲判決 これからのシナリオを左右しそうなトランプ氏と「あの人」の意向
米連邦控訴裁判所は、TikTokが米政府による強制売却法案の無効を求めるTikTokの申し立て...
「TikTok禁止」は結局、誰得? どうするトランプ氏――2025年のSNS大予測(TikTok編)
米国での存続を巡る議論が続く一方で、アプリ内ショッピングやAI機能の拡大など、TikTok...
ネットの口コミを参考に8割超が商品を購入 最も参考にした口コミの掲載先は?
ホットリンクは、口コミ投稿の経験や購買への影響を調査した結果を発表した。