従業員の離職を食い止める特効薬のようなITツールは存在しない。従業員定着率の改善に向けて、IT部門にできることは何なのか。
調査企業Gallupが2023年6月に公式ブログに公開したエントリ(投稿)「Why the World Can't Quit Quiet Quitting」によると、従業員エンゲージメント(組織との信頼関係)の低下は、世界経済に年間8.8兆ドルの損失をもたらす。この額は、世界のGDP(国内総生産)に9%の損失をもたらすことになるという。
人材不足とスキル不足が常態化している中、現状に不満を感じた従業員が簡単に退職を選択するという事実が、巨額の損失の一因になっている。退職する人材の補充に費用が掛かるのは当然のことだ。英国の平均給与3万2760ポンドの人材を雇用する場合、募集には約6552ポンドのコストが掛かる――金融企業NerdWalletは2023年4月に公式ブログに公開したエントリ(投稿)「What is the Cost of Hiring Someone in the UK?」でこう試算する。
人事ソフトウェアベンダーRemote Technologyの調査によると、米国および英国での離職率は2019年以降に上昇傾向を示している。2019年以降、英国の離職率は平均7.7%上昇しており、2023年度は35.6%になると同社は推測している。
調査会社Gartnerのバイスプレジデントアナリストであるジョン・コストウラス氏によると、従業員が退職する理由の上位は以下の通りだ。
離職率が上昇する要因は企業ごとに異なる。大企業ならば拠点の所在地域によっても異なる。IT部門の責任者は、離職率の問題を解決するのに役立つITツールを調べる前に、離職の原因を突き止めることが重要だ。コストウラス氏は以下の取り組みが基本であり、最も重要な手順だと強調する。
人事ソフトウェアベンダーMHRで最高デリバリー責任者を務めるイアン・モファット氏は、ツールではなく、結果を重視することが重要だと指摘する。「不適切な人材を採用しているのであれば、『1日100人が簡単に応募してくるポータルサイト』を求めるのではなく、『どのような人材が採用に適しているか』を理解する必要がある」(同氏)
第2回は従業員エンゲージメントの強化に向けて、IT部門が果たす役割について解説する。
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