AIツールの普及が「開発者の増加」につながるのはなぜ?AIの台頭と“開発者不足”の問題【後編】

開発者不足が世界的に深刻化する中で、AIツールの活用に期待が寄せられている。ある予測によれば、AIツールの利用拡大が開発者の数を増やすことにつながる。その理由とは。

2023年11月18日 10時00分 公開
[Jesper HyrmTechTarget]

関連キーワード

人工知能 | 開発ツール


 企業における開発案件が多様化することを受けて、開発者の不足が世界的に深刻化する可能性がある。そうした中でAI(人工知能)技術を組み込んだ開発ツールの利用拡大が、開発者を増やすという見方が浮上している。

なぜAIツールが開発者の数を増やすのか?

 AIツールの導入は、開発の効率化や生産性向上、品質強化といったメリットをもたらし得る。開発者はAIツールを活用することで、単純作業に充てていた時間を浮かし、より重要な業務に専念できるようになる。

 GitHubは同社公式ブログのエントリ(投稿)で、AI技術の活用により生産性が向上し、世界のGDP(国内総生産)は2030年までに1兆5000億ドル以上増えるとの見込みを示している。さらに同社によると、AIツールの利用拡大により、世界中の開発者4500万人の生産性が2030年までに30%向上するという。つまり、実質的にはおよそ1500万人の開発者が加わることになる。

 AI技術を組み込んだ開発ツールとして、GitHubはソースコード自動生成ツール「GitHub Copilot」を提供している。GitHub Copilotはソースコードを提案するAIアシスタント(AI技術を活用して対話型でタスクを実行するアプリケーション)だ。AI技術を用いて開発者の作業内容を理解し、単純要素を取り除くことができる。同社によると、同ツールを活用すればコーディング速度をおよそ55%高速化できるという。

 AIツールはアイデアの提案もできる。GitHub Copilotは数十億行のソースコードを用いてトレーニングされているため、開発者の作業に応じて最適な提案が可能だ。提案の内容は世界中のオープンソースコミュニティーの知恵と工夫に基づいており、開発者が思い付かない実用的な提案やインスピレーションをもたらす可能性がある。

 品質の強化やイノベーション促進にもAIツールが役立つ。AIツールを活用することで、開発環境を頻繁に切り替えたりソースコードの作成方法を調査したりといった手間がなくなり、開発者の思考は途切れずに済む。その結果、創造力を発揮することに集中できる。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia マーケティング新着記事

news083.jpg

FacebookやXなど主要SNSで進む「外部リンク制限」の実態 唯一の例外は?
ソーシャルメディアはかつてWebサイトへの重要な流入経路であった。しかし、最近は各プラ...

news079.jpg

生成AIとAR/VRで失った個性を取り戻す――2025年のSNS大予測(Instagram編)
万能だが特徴のはっきりしない「何でも屋」と化したInstagram。2025年の進化の方向性を予...

news128.jpg

「AIネイティブ世代」の誕生 10代のAI活用度合いは?
博報堂DYホールディングスのHuman-Centered AI Instituteは、AIに対する現状の生活者意識...