生成AIの登場は、システム開発にどのような変化をもたらしたのか。ローコード開発ツールベンダーOutSystemsの創業者兼CEOが解説する。
テキストや画像などを自動生成するAI技術「ジェネレーティブAI」(生成AI)や、ローコード(最小限のソースコード記述)開発ツールは、システム開発にどのような変化をもたらすのか。ローコード開発ツールベンダーOutSystemsの創業者兼CEOのパウロ・ロサド氏が解説する。
近年、AI(人工知能)技術を用いたさまざまなシステム開発手法が登場している。生成AIや「大規模言語モデル」(LLM)は、全く新しい技術というわけではない。2022年、AI技術ベンダーOpenAIが生成AIを活用したチャットbot「ChatGPT」を発表したことで、世間はその影響力をより強く認識するようになった。
従来、システム開発の自動化とスピードアップに貢献する存在としては、ローコード開発ツールがある。ローコード開発ツールには十分な拡張性がなく、企業が大規模システムの構築に利用するには能力不足だという理由で、その使用に懐疑的な人がいる。だが生成AIが台頭する中で、そうした見方は正しい捉え方とは言えなくなった。
筆者は長年にわたり、「ローコード開発ツールの能力不足」を否定してきた。今や、生成AIがこの考えの打破に貢献している。ChatGPTの普及が手伝い、自動化は開発業務の改善に役立つという考えが一般的になった。
今後、システム開発のスピードアップを目的に、AI技術を使い始める企業が増えると考えられる。例えば以下のようなものだ。
AIツールの利用拡大は、システム開発の労働市場の消滅を意味するものではない。米国労働統計局によると、ソフトウェア開発、品質保証、テストに関わる人材の雇用は2021年から2031年にかけて25%増加する見込みで、これは米国の全職種の平均値を上回っている。さまざまな企業がイノベーションのためのシステムを必要としている一方で、システム開発者は依然として不足している。
将来的に、生成AIが開発者の仕事を奪う可能性はほぼないと言える。むしろAI技術を使いこなせるようになれば、プロジェクトでより早いスタートを切れたり、短時間でより多くの業務を完了できたりと、従来プロジェクトを停滞させる原因となっていた障壁を克服できるようになる。
中編は、システム開発における生成AI活用の課題について説明する。
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