「生成AI」と「ローコード」がむしろ“開発者不足”を招く現実 その理由は?システム開発と生成AI【前編】

生成AIの登場は、システム開発にどのような変化をもたらしたのか。ローコード開発ツールベンダーOutSystemsの創業者兼CEOが解説する。

2023年09月15日 07時15分 公開
[Paulo RosadoTechTarget]

 テキストや画像などを自動生成するAI技術「ジェネレーティブAI」(生成AI)や、ローコード(最小限のソースコード記述)開発ツールは、システム開発にどのような変化をもたらすのか。ローコード開発ツールベンダーOutSystemsの創業者兼CEOのパウロ・ロサド氏が解説する。


 近年、AI(人工知能)技術を用いたさまざまなシステム開発手法が登場している。生成AIや「大規模言語モデル」(LLM)は、全く新しい技術というわけではない。2022年、AI技術ベンダーOpenAIが生成AIを活用したチャットbot「ChatGPT」を発表したことで、世間はその影響力をより強く認識するようになった。

 従来、システム開発の自動化とスピードアップに貢献する存在としては、ローコード開発ツールがある。ローコード開発ツールには十分な拡張性がなく、企業が大規模システムの構築に利用するには能力不足だという理由で、その使用に懐疑的な人がいる。だが生成AIが台頭する中で、そうした見方は正しい捉え方とは言えなくなった。

「生成AI」と「ローコード」が招く現実とは

 筆者は長年にわたり、「ローコード開発ツールの能力不足」を否定してきた。今や、生成AIがこの考えの打破に貢献している。ChatGPTの普及が手伝い、自動化は開発業務の改善に役立つという考えが一般的になった。

 今後、システム開発のスピードアップを目的に、AI技術を使い始める企業が増えると考えられる。例えば以下のようなものだ。

  • 再利用性を備えるコードスニペット(短いソースコードのまとまり)を生成するLLM
  • システム開発のライフサイクル全体にわたって作業を抽象化するローコード開発ツール

 AIツールの利用拡大は、システム開発の労働市場の消滅を意味するものではない。米国労働統計局によると、ソフトウェア開発、品質保証、テストに関わる人材の雇用は2021年から2031年にかけて25%増加する見込みで、これは米国の全職種の平均値を上回っている。さまざまな企業がイノベーションのためのシステムを必要としている一方で、システム開発者は依然として不足している。

 将来的に、生成AIが開発者の仕事を奪う可能性はほぼないと言える。むしろAI技術を使いこなせるようになれば、プロジェクトでより早いスタートを切れたり、短時間でより多くの業務を完了できたりと、従来プロジェクトを停滞させる原因となっていた障壁を克服できるようになる。


 中編は、システム開発における生成AI活用の課題について説明する。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

鬮ォ�エ�ス�ス�ス�ス�ス�ー鬯ィ�セ�ス�ケ�ス縺、ツ€鬩幢ス「隴取得�ス�ク陷エ�・�ス�。鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�、鬩幢ス「隴主�讓滂ソス�ス�ス�ス鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�シ鬩幢ス「隴乗��ス�サ�ス�」�ス�ス�ス�ス

製品資料 株式会社ジャストシステム

ノーコードで基幹システム運用を改善、解決できる課題やツール選びのコツを解説

基幹システム運用の課題を解消すべく、ノーコード開発ツールを導入する動きが加速している。数あるツールの中からどのようにツール選定を進めたらよいのか、またどのような課題を解決できるのか、具体的なツールも含めて解説する。

事例 株式会社ジャストシステム

ベンダーに依存しないシステムを自社で開発、東亜建設工業に学ぶその推進方法

老朽化したシステムの刷新に向けノーコード開発ツールを導入した「東亜建設工業」。その活用により、ベンダーに依存することなく柔軟性と持続可能性の高いシステムの構築を推進できる体制を実現している。同社の取り組みを詳しく紹介する。

事例 株式会社ジャストシステム

ノーコード開発で大幅な業務効率化を実現、「八千代工業」の取り組みとは?

社内業務の徹底的な効率化を目指す「八千代工業」。最初に導入したRPAでは、紙に依存した業務への対応は難しかったが、これらをデジタル化するためにノーコード開発ツールを使ってアプリを開発し、大きな成果を挙げている。

製品資料 株式会社ジャストシステム

IT人材不足を補うノーコード開発、全社DXにつながるツール選定の4つのポイント

IT技術の重要性が高まる一方、IT人材不足が加速している。その不足を埋めるため、自社の業務システムをノーコードで開発する動きが広がっているが、ノーコード開発を導入する際には、将来的な全社DXを考慮してツールを選ぶ必要がある。

製品資料 株式会社ジャストシステム

プロコード/ローコード開発による業務のシステム化、作業の属人化をどうする?

業務効率化に有効なシステム化だが、プロコードやローコードによる開発では場合によって複雑なコーディングが必要となり、かえって新たな課題を生みかねない。そこで登場したのが、スキル不要で使えるノーコード開発ソリューションだ。

驛「譎冗函�趣スヲ驛「謨鳴€驛「譎「�ス�シ驛「�ァ�ス�ウ驛「譎「�ス�ウ驛「譎「�ソ�ス�趣スヲ驛「譎「�ソ�スPR

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

「生成AI」と「ローコード」がむしろ“開発者不足”を招く現実 その理由は?:システム開発と生成AI【前編】 - TechTargetジャパン システム開発 髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€鬮ォ�ェ陋滂ソス�ス�コ�ス�ス

TechTarget驛「�ァ�ス�ク驛「譎「�ス�」驛「譏懶スサ�」�趣スヲ 髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€鬮ォ�ェ陋滂ソス�ス�コ�ス�ス

鬩幢ス「隴取得�ス�ク陷エ�・�ス�。鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�、鬩幢ス「隴主�讓滂ソス�ス�ス�ス鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�シ鬩幢ス「隴乗��ス�サ�ス�」�ス�ス�ス�ス鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�ゥ鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�ウ鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�ュ鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�ウ鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�ー

2025/04/16 UPDATE

ITmedia マーケティング新着記事

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...

news040.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。