トヨタの工場停止で考える「データベース管理」が“甘くない”理由DB管理は基礎が重要【後編】

データベース管理は何が難しいのか。適切に管理するにはどのようなポイントに注意すべきなのか。トヨタ自動車で発生したシステムエラー事例を基に、考察を交えて解説する。

2023年11月21日 07時00分 公開
[Antony AdsheadTechTarget]

関連キーワード

データベース | 運用管理 | ストレージ


 2023年8月29日、トヨタ自動車の部品発注システムでエラーが発生し、一時は国内における同社の全14工場が稼働停止する事態に陥った。同社の部品発注処理を担うサーバ複数台のうち一部が、容量不足で利用できなくなった。その背景には、キャパシティープランニング(必要なストレージ容量を継続的に配備するプロセス)に失敗し、十分な容量を用意できなかった問題があると推察できる。

 データベース管理者にとって、データベースのキャパシティープランニングやサイジング(必要なストレージ容量の予測)は必須のスキルだ。ただしキャパシティープランニングは単にデータベースファイルのサイズを拡大や縮小するだけではなく、求められるスキルがかなり複雑だ。データベース管理者は、具体的にどのようなポイントに注意すべきなのか。

データベース管理はなぜ甘くない?

 一般的にデータベースは、行と列、複数のテーブル(行と列の組み合わせ)から成り立つデータベースファイルで構成される。データベースファイルにはバックアップファイルの他、Microsoftのデータベース管理システム「SQL Server」の一時領域である「TempDB」といった一時ファイルや、頻繁に使用する特定行に素早くアクセスできるようにするインデックスファイル、データベースにおける操作を記録するログファイルなどが存在する。

 このようなデータベースを構成する要素の実装方法はベンダーによって異なる。そのため公称サイズが同じでも、ストレージ容量が実際に占有するボリューム(記憶領域の単位)数は異なる場合もある。

 他にもデータベースの保守中は、トランザクション(一連の処理)が急増してファイルサイズが突然大きくなったり、レプリカ(複製)やスナップショットを作成することで必要なストレージ容量が増えたりする可能性もある。複数のHDDを組み合わせて1台のHDDのように運用する「RAID」(Redundant Array of Inexpensive Disks)構成を採用するとストレージボリュームがさらに増える可能性があるし、ディスク使用率が増加するとデータベースへのアクセスに掛かる時間が長くなる可能性がある。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

隴�スー騾ケツ€郢晏ク厥。郢ァ�、郢晏現�ス郢晢スシ郢昜サ」�ス

製品資料 株式会社ジャストシステム

ノーコードで基幹システム運用を改善、解決できる課題やツール選びのコツを解説

基幹システム運用の課題を解消すべく、ノーコード開発ツールを導入する動きが加速している。数あるツールの中からどのようにツール選定を進めたらよいのか、またどのような課題を解決できるのか、具体的なツールも含めて解説する。

事例 株式会社ジャストシステム

ベンダーに依存しないシステムを自社で開発、東亜建設工業に学ぶその推進方法

老朽化したシステムの刷新に向けノーコード開発ツールを導入した「東亜建設工業」。その活用により、ベンダーに依存することなく柔軟性と持続可能性の高いシステムの構築を推進できる体制を実現している。同社の取り組みを詳しく紹介する。

事例 株式会社ジャストシステム

ノーコード開発で大幅な業務効率化を実現、「八千代工業」の取り組みとは?

社内業務の徹底的な効率化を目指す「八千代工業」。最初に導入したRPAでは、紙に依存した業務への対応は難しかったが、これらをデジタル化するためにノーコード開発ツールを使ってアプリを開発し、大きな成果を挙げている。

製品資料 株式会社ジャストシステム

IT人材不足を補うノーコード開発、全社DXにつながるツール選定の4つのポイント

IT技術の重要性が高まる一方、IT人材不足が加速している。その不足を埋めるため、自社の業務システムをノーコードで開発する動きが広がっているが、ノーコード開発を導入する際には、将来的な全社DXを考慮してツールを選ぶ必要がある。

製品資料 株式会社ジャストシステム

プロコード/ローコード開発による業務のシステム化、作業の属人化をどうする?

業務効率化に有効なシステム化だが、プロコードやローコードによる開発では場合によって複雑なコーディングが必要となり、かえって新たな課題を生みかねない。そこで登場したのが、スキル不要で使えるノーコード開発ソリューションだ。

郢晏生ホヲ郢敖€郢晢スシ郢ァ�ウ郢晢スウ郢晢ソスホヲ郢晢ソスPR

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

トヨタの工場停止で考える「データベース管理」が“甘くない”理由:DB管理は基礎が重要【後編】 - TechTargetジャパン システム開発 隴�スー騾ケツ€髫ェ蛟�スコ�ス

ITmedia マーケティング新着記事

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...

news040.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。