企業にとっては“デジタル”に関連する製品やサービスの開発が重要になる一方で、今後は世界的に「開発者不足」が深刻化する可能性がある。この問題は、“あること”をしないことによって悪化するという見方が浮上している。
あらゆる企業が“デジタル”の活用範囲を広げ、開発者への依存度を強めている。開発者の数を必要なだけ確保し、維持できるかどうかは企業にとっての重要な成功要因だが、それを実現するのはかつてないほど厳しい状況だ。開発者の確保を望む企業は、“あること”をしないことによって開発者不足を悪化させる可能性がある。
ITコンサルティング企業Nash Squaredが公表した調査レポート「Digital Leadership Report 2022」によると、技術部門の意思決定者の約70%が「人材不足が原因で業務に支障が出ている」と回答した。調査は2022年7月~10月にかけて、82カ国における技術部門の意思決定者1785人を対象に実施した。
特に顕著なのは、開発者の需要が供給を大幅に上回ることだ。2025年頃までに、世界的に数百万人規模で開発者が不足するという見方がある。
開発者の不足は一夜にして解決できる問題ではない。開発案件の急増や、目まぐるしく変わる技術への対処など、開発者に求められる水準は高まる一方だ。企業は開発者が自発的に自己研さんして熱心に働いてくれると期待してはいけない。企業も開発者に対して、何らかのメリットを提供する必要がある。
開発者不足の緩和において重要な役割を果たす可能性があるのが、AI(人工知能)技術を組み込んだAIツールの導入だ。例えば、テキストや画像などを自動生成する「生成AI」(ジェネレーティブAI)ツールがある。
AIツールの導入は、競争の激しい雇用市場で開発者を獲得しやすくなる効果や、離職を引き止める効果を生むと期待できる。開発者が働きたいと考えるのは、最新のツールを使用して業務を遂行しつつ、学習もできる職場だ。AIツールを導入する計画がない、もしくは導入の準備が整っていない企業は、効率化やイノベーション促進といったメリットを逃すだけでなく、開発者不足問題を悪化させてしまう可能性がある。
企業の成功の土台となるのは、イノベーション創出に必要な開発者を引き付け、その能力を最大限引き出す力だといっても過言ではない。AIツールの登場は、開発者不足の解消やビジネス成功のための大きなメリットを企業にもたらしたと言って間違いない。
後編は、企業がAIツールを導入することでどのようなプラスの効果が生じるのかを考える。
米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
DXが進み、レガシーシステムからの脱却が喫緊の課題となっている今。「ERP×ノーコードツール」のアプローチで基幹システムの刷新に取り組む企業が増えている。そのアプローチを推進するに当たってのポイントを解説する。
DXの本質は、デジタル技術を駆使して変化に適応する能力を身につけることにある。その手段の1つとして注目を集めているのが、ローコード/ノーコード開発ツールだ。京王グループなどの事例とともに、その特徴やメリットを紹介する。
DX人材の重要性が高まる中、ノーコードツールの活用によって業務改革と人材育成を両立しようとする動きが活発化している。年間約780時間の工数削減を実現した京セラをはじめとする5社の事例を基に、その実態を探る。
急速に進化するデジタル技術は、製造業などのものづくりの現場にもさまざまな恩恵をもたらしている。しかし、設備点検業務や棚卸業務などの立ち仕事や移動が多い現場では、いまだにアナログ業務が残存し、効率化の妨げとなっているという。
あらゆる業界でDXの重要性が増しているが、工場や倉庫の中にはデジタル化が後回しにされている隙間業務が多数ある。その理由を明らかにした上で、それらの業務をモバイルアプリでデジタル化し、現場DXを推進する9社の事例を紹介する。
なぜ、「kintone」が大企業の「Fit to Standard」に効果的なのか (2025/3/7)
ノーコードは、負の遺産であるアナログ業務をなくせるのか (2024/11/12)
手間もコストもかかるGUIのテストはどうすれば自動化できるのか (2024/6/4)
「システム内製化」が失敗しがちなのはなぜ? “従来のやり方”では駄目な理由 (2024/5/15)
金融機関のモダナイゼーション 最適解に導くには (2024/3/29)
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。