メタバースは製造業をはじめとする産業界での活用が期待されるが、普及が順調に進んでいるとは言い難い。背景にある要因や、メタバースの普及に必要な条件とは何かを解説する。
製造業をはじめとする産業界において、3次元(3D)仮想空間「メタバース」の活用が見込まれる。特に人材やスキルの不足、イノベーションの遅滞といった課題を抱える組織は、産業用メタバースの利点をうまく得られる可能性がある。ただし、産業用メタバースは現状では普及しているとは言い難い。何が問題なのか。
通信機器ベンダーNokiaでプラットフォーム部門のアプリケーションプログラムディレクターを務めるトゥーリ・アハバ氏は、産業用メタバースがもたらすメリットの一つとして、コラボレーション(協働)強化を挙げる。「AR」(拡張現実)や「VR」(仮想現実)といった技術を用いて、従業員はリアルタイムで専門家の指導を受け、質問や相談ができる。メタバースで地理的に離れた同僚と連携し、AI技術やクラウド分析機能を活用することで、情報共有や問題解決の促進も可能となる。
イノベーションの促進も期待できる。現実世界では困難もしくは危険なシナリオを仮想空間に再現することで、公共安全機関や鉱業をはじめとする業界の組織は新たな取り組みに着手しやすくなる。仮想空間で生成した豊富なデータは、分析の迅速化や予測精度の向上に役立つ。
産業用メタバースは、IoT(モノのインターネット)技術やAI(人工知能)技術といった先進技術を扱う点において「インダストリー4.0」(第4次産業革命)と同じビジョンを共有する。一方で、産業用メタバースは仮想空間を優先するアプローチを採用している点で、インダストリー4.0の延長線上に位置するというのがアハバ氏の見方だ。
産業技術の利用を推進するフィンランド国営企業VTT Technical Research Centre of Finland(VTT技術研究センター)でスマートマニュファクチャリングの責任者を務めるカロリーナ・サルミネン氏は、産業用メタバースの普及を阻む要因は、その市場要件にあると指摘する。
現状、産業用メタバースの大半は、特定企業の問題に対処することを目的としている。産業用メタバースが広範に普及するためには、その用途を産業界全体やグローバル規模に広げることが不可欠だ。具体的には、メタバース提供企業は以下4点を意識して取り組みを実施すべきだ。
産業用メタバースの活用においては、技術だけでなく技術以外の面も考慮する必要がある。メタバース関連技術はまだ成熟しているとは言えず、さらなる発展には特定業界に限定しない用途の開発が欠かせない。
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