AIを「人事」に使うと何がうれしい? 効果が期待できる2つのメリット人事部門におけるAI活用のメリット・デメリット【前編】

AI技術は企業のさまざまな業務で活躍できる可能性がある。人事部門も例外ではない。人事部門がAIツールを活用することで、どのようなメリットが期待できるのか。

2023年12月10日 10時00分 公開
[Carolyn HeinzeTechTarget]

関連キーワード

ERP | 人工知能 | チャットbot | 人事


 人工知能(AI)技術が急速に進化を続ける中、AI技術のメリットを享受するために、企業の人事部門はAI技術の導入や利用拡大を検討し始めている。機械学習と生成AI(テキストや画像などを自動生成するAI技術)の登場により、AI技術は話題の最前線に躍り出た。例えば生成AIは、人事部のスタッフが従業員からの問い合わせに回答する手助けをしてくれる。

 ただし企業はAI技術を活用し始める前に、そのデメリットを認識しておかなければならない。AI技術が抱えているバイアス(偏見)の問題をはじめ、これらのデメリットは重大な事件を引き起こす恐れがあるからだ。本連載は、人事部門がAI技術を活用する場合のメリットとデメリットを紹介する。

人事部門におけるAI活用のメリット

メリット1.作業時間を短縮できる

 定型的な作業をAIツール(AI技術を活用したツール)に任せることで、労働時間を大幅に短縮できる可能性がある。コンサルティング企業PricewaterhouseCoopers(PwC)でワークフォースストラテジーパートナーを務めるジュリア・ラム氏は、「従業員からのよくある質問への応対をAIツールに任せることができる」と話す。

 具体的には、以下の業務で生成AIが役に立つ可能性がある。

  • 従業員から寄せられる、休暇の割り当てや休暇の申請手順に関する質問への回答
  • 自社のコミュニケーションチャネルを通じた社内向けアナウンスの定期配信
  • 研修用コンテンツの開発や、知識を集約するプロジェクトの推進

 ラム氏の顧客企業は、生成AIを用いて倫理とコンプライアンスに関する研修ビデオの台本を作成したという。「生成AIを使わなければ、同じ台本を作成するのに2、3週間はかかってもおかしくないほど質の良い初稿だった」と同氏は振り返る。

メリット2.ヒューマンエラーを減らせる

 人事担当者が人手でデータを入力すると、どうしてもミスをすることがある。AI技術を使うことで、その問題をある程度解決可能だ。

 ドイツのミュンヘン工科大学(Technical University of Munich)のInstitute for Ethics in Artificial Intelligenceに所属する研究員のアレクサンダー・クリービッツ氏は、「人の仕事ぶりを損なう要因は、AIツールには関係ない。例えば疲労はAIツールに影響を及ぼさない」と話す。「再現性があり、標準化が進んでいるタスクについては、AIツールの方が人よりも優れている」とクリービッツ氏は考える。


 次回は、人事部門におけるAI技術活用のデメリットを紹介する。

TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス

米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

譁ー逹€繝帙Ρ繧、繝医�繝シ繝代�

製品資料 オリックス株式会社

法対応に加えて業務効率化も加速、AI-OCR搭載のオンラインストレージとは

電子帳簿保存法やインボイス制度への対応で、担当者の負荷増大が課題となっている企業は少なくない。その解消方法の1つが、AI-OCRを搭載したオンラインストレージだ。本資料では、同サービスの機能や特徴を詳しく紹介する。

プレミアムコンテンツ アイティメディア広告企画

ERPの次世代版「コンポーザブルERP」の正体はこれだ

「コンポーザブルERP」とは何なのか。従来型のERPとは何が違うのか。コンポーザブルERPのメリットとデメリット、導入に当たって乗り越える必要がある“難題”を整理する。

プレミアムコンテンツ アイティメディア広告企画

いまさら聞けない「ERP」と「APS」のそれぞれの役割と違い

「ERP」(統合基幹業務システム)と「APS」(生産スケジューラー)にはどのような違いがあるのか。その役割や違いに加えて、特にAPSに適した用途を紹介する。

事例 jinjer株式会社

「勤怠管理システム」導入事例集:ベルーナ、リーフラス、牛乳石鹸共進社など

勤怠の正確な記録と管理を実現する勤怠管理システムだが、導入によって具体的にどんな成果が得られるのかイメージしづらい企業も多いだろう。そこで、勤怠管理システムを導入した10社の事例を基に、導入で得られた成果を詳しく紹介する。

製品資料 jinjer株式会社

勤怠管理の理想形、「多様な打刻」「誰でも使える」「管理が簡単」の実現方法は

効果的な勤怠管理を実現するために、勤怠管理システムを導入する企業が増えている。しかし「操作が複雑で定着しない」「申請の承認作業の負担が大きい」といった声も聞こえてくる。勤怠管理を簡単かつ正確に行うためにはどうすればよいか。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...