AI技術は企業のさまざまな業務で活躍できる可能性がある。人事部門も例外ではない。人事部門がAIツールを活用することで、どのようなメリットが期待できるのか。
人工知能(AI)技術が急速に進化を続ける中、AI技術のメリットを享受するために、企業の人事部門はAI技術の導入や利用拡大を検討し始めている。機械学習と生成AI(テキストや画像などを自動生成するAI技術)の登場により、AI技術は話題の最前線に躍り出た。例えば生成AIは、人事部のスタッフが従業員からの問い合わせに回答する手助けをしてくれる。
ただし企業はAI技術を活用し始める前に、そのデメリットを認識しておかなければならない。AI技術が抱えているバイアス(偏見)の問題をはじめ、これらのデメリットは重大な事件を引き起こす恐れがあるからだ。本連載は、人事部門がAI技術を活用する場合のメリットとデメリットを紹介する。
定型的な作業をAIツール(AI技術を活用したツール)に任せることで、労働時間を大幅に短縮できる可能性がある。コンサルティング企業PricewaterhouseCoopers(PwC)でワークフォースストラテジーパートナーを務めるジュリア・ラム氏は、「従業員からのよくある質問への応対をAIツールに任せることができる」と話す。
具体的には、以下の業務で生成AIが役に立つ可能性がある。
ラム氏の顧客企業は、生成AIを用いて倫理とコンプライアンスに関する研修ビデオの台本を作成したという。「生成AIを使わなければ、同じ台本を作成するのに2、3週間はかかってもおかしくないほど質の良い初稿だった」と同氏は振り返る。
人事担当者が人手でデータを入力すると、どうしてもミスをすることがある。AI技術を使うことで、その問題をある程度解決可能だ。
ドイツのミュンヘン工科大学(Technical University of Munich)のInstitute for Ethics in Artificial Intelligenceに所属する研究員のアレクサンダー・クリービッツ氏は、「人の仕事ぶりを損なう要因は、AIツールには関係ない。例えば疲労はAIツールに影響を及ぼさない」と話す。「再現性があり、標準化が進んでいるタスクについては、AIツールの方が人よりも優れている」とクリービッツ氏は考える。
次回は、人事部門におけるAI技術活用のデメリットを紹介する。
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