「Microsoft Teams」に、業務支援ツール「Copilot for Microsoft 365」の関連機能が加わり、会議内容の文字起こしを中心とした機能が強化された。専門家が感動したポイントは。
大規模言語モデル(LLM)を搭載したMicrosoftの業務支援ツール「Copilot for Microsoft 365」(旧称:Microsoft 365 Copilot、以下Copilot)に、新しいAI(人工知能)機能が複数加わる。ユニファイドコミュニケーション(UC)ツール「Microsoft Teams」(以下、Teams)は文字起こしを中心にした新機能が搭載されるなど、Copilot関連ツールによって機能が進化する。
Teamsには、会議内容をリアルタイムで文字起こししながら、話者を特定したり、デジタルホワイトボードツールと連携して内容を視覚化したりする機能が加わる。Teamsの会議中にリアルタイムで文字起こしをする機能は以前から存在していたが、「発言者の名前を特定しながらのリアルタイム文字起こし」が可能になったのはCopilotのおかげだ。
調査会社Metrigyのアナリストであるアーウィン・レザー氏によれば、話者を特定する機能が加わったことは「文字起こし機能の大幅な進化」を意味する。「私が特に素晴らしいと感じる点は、同じ会議室にいた参加者がデバイスを共有して発言したとしても、誰が何を発言したかを特定できることだ」とレザー氏は言う。ただしこの機能を使うためには、参加者が自分の声をCopilotに登録する必要があり、「プライバシーの問題につながる懸念もある」と同氏は指摘する。
一方でS&P Global Market Intelligence傘下の調査会社451 Researchでアナリストを務めるラウル・カスタノンマルチネス氏は、Copilotの文字起こし機能と、Teamsがもともと備えていた文字起こし機能との違いはわずかだと考える。「新しいのはCopilotのインテリジェンスであり、書き起こされる内容自体は変わらない」とカスタノンマルチネス氏は指摘する。むしろ同氏が重視するのは、CopilotがTeamsの会議を文字コンテンツに変え、デジタルホワイトボードツール「Microsoft Whiteboard」用のグラフィックデータのような新しいメディアに変換する能力だ。これによりTeamsで議論した内容をCopilotで文字起こしし、Microsoft Whiteboardでリアルタイムに視覚化できるようになる。会話内容に合わせてCopilotがMicrosoft Whiteboardに追加するアイデアを提案することもあるという。「これは重要な差別化要素であり、競合製品との比較においてMicrosoft製品の地位を強化するものだ」と同氏は強調する。
前述の通り、Microsoftは会議内容を要約してMicrosoft Whiteboardのグラフィックに変換する新しい機能をTeamsに追加した。デジタルホワイトボードベンダーTactivos(Muralの名称で事業展開)のホワイトボードアプリケーション「Mural」とCopilot for Microsoft 365の連携機能も新たに加わる。両方のサービスを使用しているユーザー企業は、Copilot for Microsoft 365を用いて自然言語による指示文を入力し、Muralで最適なテンプレートを選択できるようになる。「Microsoft Word」で作成した文書をMuralのテンプレートに変換する機能や、逆にMuralのホワイトボード内容をMicrosoft Word文書に変換する機能についても開発中だという。
レザー氏は「Tactivos、Edistor、RealtimeBoard、Figmaなどのデジタルホワイトボードベンダーと比較して、Microsoftが特別なものを提供しているわけではない」と意見を示す。その上で、Microsoft Whiteboardの機能についてこう語る。「Microsoft Whiteboardは他の製品ほど充実していないが、Microsoftが自社製品にCopilotを活用した機能を追加することは理にかなっている。多くのMicrosoftユーザーにとって、そうした機能で十分だからだ」
後編は、Teamsの機能強化に伴う新たな懸念を解説する。
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